NHKが2月15日に配信した記事では、高市早苗政権の掲げる「責任ある積極財政」について、市場関係者やエコノミストの見解を紹介する形で、さまざまな懸念が示されていました。
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015052401000
・財政拡張は本当に大丈夫なのか
・国債は売られないのか
・金利は上がらないのか
・インフレが進みすぎないか
たしかに、いずれも多くの人が直感的に不安を抱きやすい論点です。
しかし、これらの批判は前提を誤っています。
その前提とは、政府はおカネをどこかから調達しなければ支出できない存在だという考え方です。
もしその前提に立つなら、財政拡張は常に危険に見えるでしょう。
借金が増えればいずれ限界が来る、と考えるのが自然だからです。
しかし、政府は通貨の発行主体です。
自国通貨建ての国債について支払い不能になるという事態は想定できません。
では、市場が本当に見ているのは何でしょうか。
それは財政破綻ではなく、インフレです。
つまり問題はおカネの帳尻ではなく、実際の経済において人手や資材、生産能力が足りるかどうかです。
財政支出が拡大すれば需要が強まり、物価に影響が出ます。
国債や為替の動きは、その予想を反映しているにすぎません。
ここで問われているのは、政府の支払い能力ではなく、資源配分です。
また、国債発行が増えれば金利が上昇するという議論もあります。
しかし金利は、主権通貨国においては中央銀行が調整可能な政策変数です。
市場任せに決まるものではありません。
さらに言えば、既に発行されている国債の多くは固定金利です。
市場金利が動いたからといって、ただちに利払いが増えるわけでもありません。
結局のところ、NHKの記事が心配しているのは「財源」です。
しかし現実に制約となるのは、財源ではなく「資源」です。
おカネがあるかどうかではなく、人がいるか、物があるか、供給できる力があるか。
ここを見誤れば、議論は必ず的外れになります。


