高市早苗首相は、自らの政権を「責任ある積極財政」を掲げてスタートさせました。
物価高から国民生活を守り、日本経済の再成長を実現する――。
政府支出を恐れず、国力を再び強くする——。
この方向性は、長年の緊縮財政で疲弊してきた我が国にとって、まさに正しい政策思想です。
しかし、この積極財政に立ちはだかっているのは、野党など外部の政治勢力ではありません。
最大の政治抵抗勢力は「財務省」です。
財務省は、国の財政運営における強大な権限を握っています。
その基本思想は、プライマリーバランス(PB)黒字化を絶対視する「財政規律」です。
簡単に言えば、「税収の範囲内で支出すべきだ」という家計簿的な発想です。
これは、政府が通貨を発行できる主体であるという現実とまったく整合していません。
実際、高市政権が策定中の総合経済対策では、AI革新・科学技術投資・中小企業の成長支援など、国の未来を左右する政策が財務省の減額査定によって次々に後退させられています。
要求を出しても「ゼロ査定」。
予算は数分の一に削られる。
そして各省庁には「要求するな」と圧力がかけられていると言われています。
これでは、積極財政どころか、石破政権時代の緊縮予算と変わりません。
思想は積極財政でも、制度が緊縮のままであるなら、政策は必ず骨抜きにされるのです。
いま必要なのは、財務省による「制度的拘束」を突破する政治主導です。
PB黒字化目標の撤回、国債発行に関する法的整備、そして財政運営の思想そのものを転換することが不可欠です。
歴史を振り返れば、どれほど支持率が高い政権であっても、初年度に財政拡張を実現できなければ、支持率低下とともに緊縮へ追い込まれ、結局は失敗に終わってきました。
だからこそ、高市政権は今が最大の正念場です。
国民生活は待ってはくれません。
供給力は、投資を怠れば失われます。
そして、一度失われた国力の再建には、途方もない時間がかかります。
「財政を制約とみなすのか、手段とみなすのか」
この問いへの答えが、国家の運命を分かつのです。
高市政権が国民の期待に応え、国家の未来を切り拓くためには、思想と現実を制度に整合させることが必要です。
繰り返しますが、最大の敵は野党ではありません。
財務省こそが、積極財政を阻む“構造的権力”なのです。


