グローバリズム政党の影――共同体を蝕む維新改革

グローバリズム政党の影――共同体を蝕む維新改革

自民党と連立政権を組んだことで、日本維新の会が再び勢いを増しています。

しかし、日本維新の会の「正体」と「危険性」について、国民の多くが十分に理解しているとは言えません。

近年の各種政策や言動を丁寧に読み解いていくと、維新の掲げる改革路線は、私たちの国や地域社会を支えてきた共同体の基盤を大きく揺るがしかねない性質を持っていることが見えてきます。

例えば、維新が推進しようとしている「副首都構想」は、名称こそ異なりますが、過去に二度の住民投票で否決された「大阪都構想」と深く通じています。

地方自治の原則から見ても、住民の意思を尊重せず、異なる看板で再提出してくる手法には慎重な検討が必要です。

そもそも「大阪都構想」という名称そのものが、国民を誤解させる要素を持っていました。

市が「都」に格上げされるわけではなく、むしろ大阪市という大きな自治体を廃止する計画であったにもかかわらず、そのことは十分に説明されていませんでした。

実際には、行政区分や財源配分の仕組みが複雑化し、住民サービスの低下を招く可能性も指摘されていました。

つまり、改革と称しながら、実態としては地域の共同体を分断し弱体化させる危険性をはらんでいたのです。

この構想を推進する過程では、市民の誤解を誘発するような説明が繰り返され、健全な民主主義に不可欠な「中間組織」を解体する方向へ世論を誘導するものでした。

歴史的に見ても、中間的な団体や組織を弱体化させることは、共同体の結束を解きほぐし、市民を“個人”として市場の論理に従わせるための典型的な手法です。

この点にこそ、維新の政治路線が有するグローバリズム的な危うさが現れていると言えます。

さらに注意すべきは、維新の思想的背景です。

維新のアドバイザー的立場にある人物は、「大阪の改革は地域革命である」「大阪は中央政府や既存の自治組織と対峙し、独自の道を切り開くべきだ」という趣旨の寄稿を公然と発表しています。

これは、地方自治の範囲を大きく逸脱し、国家の統治構造そのものを揺るがす思想であると言わざるを得ません。

「中央を敵とし、大阪の独立を志向する」という考え方は、日本全体の統治秩序と協調性を根本から破壊する危険性を孕んでいます。

こうした政治手法や思想が広がる背景には、グローバリズムの浸透があります。

行政組織の統廃合や公共サービスの民間移管、地方自治体の分割や「効率化」の名のもとに、公共部門の縮小や自治組織の弱体化が進められると、共同体としての連帯や文化的な一体性が徐々に失われていきます。

行政が市場原理に従属するようになれば、公的役割は縮小し、地域社会は“競争と効率”を基準に再編されることになります。

その帰結として想定されるのは、国民国家としての日本が弱体化し、地域社会の結束力が低下し、最終的には「日本」という共同体そのものが機能不全に陥る危険性です。

改革という言葉の響きに惑わされず、その背後に潜む思想的背景や制度的帰結を丁寧に読み解くことが、私たちが未来を選び取るうえで不可欠だと考えます。