私たちは、なぜ選挙に行くべきなのでしょうか。
それは、政治家を選ぶためではなく、自分が政治に選ばれるためです。
誤解を恐れずに言えば、権力者は国民全員を平等に見ているわけではありません。
残念ながら、権力を維持するために必要な人だけを優先して見ています。
現実の政治では、権力者は国民を次の三つの立場に分類します。
第一に「投票権だけもつ有権者」。
つまり、選挙権は持っていても投票に行かない人たちのことで、権力者にとっては国民として存在していないも同然です。
第二に「投票する有権者」。
すなわち、実際に投票し、選挙結果に影響を与える人です。
そして第三には、「支配同盟(最高権力者を支える与党議員や軍人など)」です。
これは、最高権力者が自らの地位を維持するために、どうしても必要とする人たちのことです。
古今東西の歴史をみても明らかなように、例え民主主義国であっても、最高権力者は常に「自分を支える支配同盟」を最優先で満足させようとします。
最高権力者は常として「自分を支える支配同盟」を有利にするための政策を行うこととなります。
その政策の恩恵を受けるのが、まさに「投票する有権者」なのです。
要するに、投票に行かない人は「投票権だけもつ有権者」のままで、権力者たちの視野には入らないのです。
権力者が本当に気にするのは「投票する有権者」と、その中から生まれる「自分を支える支配同盟」だけなのです。
いま行われている自民党総裁選挙を見ても、その構図は明らかです。
では、あなたが選挙に行くことで何が起きるのでしょうか。
投票すれば「投票する有権者」となり、権力者たちの視野に入り、大事な存在として扱われることになります。
例えば、「投票する有権者」たちが求める公共サービス(道路、教育、医療、水道など)を広く充実させる方向に動かざるを得ません。
あるいは、若者の投票が増えれば、最高権力者は「若者」たちのための政策(教育や雇用など)を実現しようとします。
なぜなら、そのことが自分を支える支配同盟を利することになるからです。
逆に投票率が低いままなら、一部の既得権益層や富裕層だけが「支配同盟」を支え、庶民に不利な政策(重税や負担増)が進められる危険が高まります。
このように、選挙とは単に「政治家を選ぶ」だけの行為ではなく、同時に「政治に選ばれに行く」行為なのです。
投票することで、あなたは「投票権だけもつ有権者」から抜け出し、「投票する有権者」となり、やがては権力者とそれを支える支配同盟が無視できない存在になるのです。
だからこそ、選挙に行くことは未来の自分や社会を守るための最も直接的で現実的な方法なのです。