米国では、外国人や外国企業による不動産購入を制限する動きが広がっています。
令和5年現在、24州が規制を導入し、さらに12州が同様の法案を審議中です。
8月29日にはテキサス州で、敵対的な国家に属する主体による土地取得を監視する法律が成立しました。
特に米軍基地周辺の土地については徹底した規制が敷かれています。
一方、我が国ではどうでしょうか。
水資源や国境離島、軍事拠点周辺の土地が外国資本によって取得され、その利用目的が不透明な事例が後を絶ちません。
安全保障上の重大な懸念があるにもかかわらず、政府や既成政党は土地問題について十分な議論を行ってきませんでした。
実は我が国にも「外国人土地法」という制度が存在します。
大正14年に制定され、相互主義の理念を掲げ、日本人や日本法人が土地を取得できない国に属する外国人や外国法人に対しては、日本でも同様の制限を課すことができると定められていました。
大正15年の施行令では、伊豆七島や小笠原諸島、対馬、沖縄諸島、さらには帝国海軍の鎮守府所在地など国防上重要な地域での土地取得を許可制としていました。
しかし敗戦後、GHQの占領政策の中で施行令は1945年に廃止され、その後は政令による制限が一切定められなかったため、外国人土地法は形式上は今も現行法として残っているものの、実質的には死文化したままの状態です。
さらに平成6年、日本は国際的な貿易自由化の枠組みであるGATS協定を、日本だけが「外国人は無条件で土地取引ができる」との内容で批准してしまいました。
他国の多くは「条件付きで土地取引が可能」としていたのに対し、我が国だけが全面開放を約束してしまったのです。
その結果、現在もなお、中国・ロシア・北朝鮮といった国々では日本人や日本企業が土地を購入できないにもかかわらず、相手国の国民や企業は日本の土地を自由に買うことができるという不条理が続いています。
これは「相互主義」の理念に反するだけでなく、日本の安全保障を危うくする深刻な矛盾です。
もちろん、令和3年には「重要土地利用規制法」が公布され、翌年施行されました。
これにより、重要施設周辺や国境離島における土地利用状況の調査や利用制限が可能になったものの、その範囲や実効性にはなお課題が多く、外国資本による戦略的な土地取得を十分に防げていません。
だからこそ、休眠状態にある外国人土地法を呼び覚まし、相互主義の原則を明確に制度へ反映させることが必要です。
加えて、法人や名義を介した迂回取得を防ぐため、実質的支配者を特定する仕組みの導入も不可欠です。
土地は国家の基盤であり、投資の自由と安全保障の両立が求められます。
我が国が主体性をもって休眠法を活用し、制度を磨き直すことでこそ、日本の国益を守る道が拓けます。
今こそ外国人土地法を再生させ、日本の安全保障と主権を確立すべき時です。
土地は国家の基盤_外国資本規制と相互主義の回復を求める
