川崎市の小児医療費助成、18歳まで拡充

川崎市の小児医療費助成、18歳まで拡充

川崎市の福田紀彦市長は、小児医療費助成制度について、来年9月から18歳まで無償とすることを決断しました。

これにより、現在は中学3年生までとなっている助成対象が、高校3年生の年度末まで拡大されることになります。

同時に、小学4年生以上が通院時に支払っていた1回最大500円の一部負担金も撤廃され、完全に無償化される見通しです。

市は9月議会に条例改正案を提出し、来年9月の実施を目指しています。

小児医療費助成制度は自治体ごとに仕組みが異なりますが、神奈川県内ではすでに大半の自治体が18歳の年度末までを対象としています。

横浜市も山中市長が18歳までの拡充を公約に掲げて再選を果たし、仙台市や相模原市なども順次対象年齢を広げてきました。

こうした中で、川崎市だけが中学3年生までにとどまっており、県内で取り残される形となっていました。

福田市長は会見で「川崎市だけ制度拡充がなされない状況は理解されず、『選ばれない都市』になってしまう」と述べ、政策転換を「苦渋の選択」と説明しました。

私は、この政策転換そのものについては大いに評価したいと思います。

少子化が進むなかで、子育て世帯の経済的負担を軽減することは、将来に向けて極めて重要な施策だからです。

ただし、8月28日に開催された文教委員会において、私は、これまで当局が繰り返してきた極めて稚拙な「できない理由」については苦言を呈しておきました。

第一に「財源がない」としてきた当局の説明です。

今回の拡充にあたっても約12億9,900万円の追加財源を確保できていることが示されており、川崎市の一般会計規模に照らせば年13億円程度の新規支出は十分に吸収可能です。

結局のところ「財源がない」とは、財源を確保する意思を欠いていたに過ぎませんでした。

第二に、制度利用者と不利用者の間で「不公平が生じる」としてきた当局の説明です。

例えば高齢者福祉、障害者福祉も制度利用者と不利用者に分かれますが、それを理由に公平性が否定されることなどありません。

当局が、小児医療助成費だけ「公平性」を盾にしてきたのは整合性を欠きます。

当該制度は、子どもの健全な育成と福祉の増進を目的とする制度であり、制度を利用する家庭と利用しない家庭の公平性を理由に否定するのは制度趣旨を著しく矮小化しています。

むしろ制度を導入しなかったことで、川崎市民の子どもだけが近隣市の子どもより不利という不公平を被ってきました。

政策転換そのものは歓迎すべきことですが、当局がこれまで示してきた理由が稚拙であったことは明らかです。

政策判断において最も重要なのは意思と優先順位であり、それを欠いた結果が市民への不利益となって跳ね返ってきたのです。

今回の拡充は、子育て世帯にとって確かな前進であると同時に、過去の姿勢を反省し、今後は市民に対して真摯な説明責任を果たすべきだという教訓を残しています。