憲法9条論争を超えて_問われるべきは占領憲法の効力

憲法9条論争を超えて_問われるべきは占領憲法の効力

信州放送によれば、長野県民を対象とした世論調査で、憲法9条の改正について「必要ない」と答えた人は47.4%にとどまり、前回調査より12.8ポイントも減少しました。

一方、「必要がある」と答えた人は23.6%に増え、その理由として最も多かったのは「自衛隊の位置づけを明記すべきだから」という意見でした。

戦後日本の憲法論議は、相変わらず改憲か護憲かの二項対立に終始し、現行憲法がそもそも憲法として効力を有しているのかという根本問題には、いまだに光が当たっていません。

そもそも現行憲法は、占領下において連合国の手で制定されたものであり、このような行為はハーグ陸戦法規に反し、国際法に違反します。

しかも、大日本帝国憲法(以下、帝国憲法)第73条に定められた天皇の改正発議権を侵害し、第75条の「国家の変局時における憲法改正禁止」の規定にも反して制定されたため、本来は憲法として無効(帝国憲法の講和大権に基づく条約の範囲内で有効)です。

つまり、憲法としては無効だが、条約としての効力は認められるということです。

実際、我が国は帝国憲法第13条の講和大権に基づきポツダム宣言を受諾し、降伏文書に調印しました。

そして講和条約を締結し、主権を回復しました。

交戦権を否認する現行憲法には、本来、講和条約を締結する権能がありません。

そうであるなら、いかにして講和条約を結ぶことができたのでしょうか。

もちろん、帝国憲法が存続していたからこそ独立が可能となったのです。

本来であれば、昭和27年4月28日の主権回復と同時に現行憲法の無効を宣言し、帝国憲法に復元した上で改めて憲法改正を行うべきでした。

しかし、敗戦利得者による国政支配が続いた結果、それは実現しませんでした。

現行憲法は講和条約の範囲でのみ効力を持つ相対的無効にすぎず、独立国としては帝国憲法の復元と改正こそが不可欠です。

加えて、現行憲法の有効性を主張する側こそ、その正当性を立証する責任を負うべきであり、質問を重ねれば、第73条及び第75条との矛盾、占領下での改正手続きの不当性が必ず露呈するはずです。

私の言う「占領憲法無効論」は決して革命思想ではなく、むしろ法的安定性を維持するための現実的立場です。

旧無効論のように占領憲法下でのすべての法令を無効とする極端な主張ではなく、講和条約の限度で効力を認める一方、将来に向けて占領憲法を破棄し、帝国憲法秩序を復元する。

これこそが、日本が本来あるべき主権国家として再生するための道筋です。

世論調査の数字が示すのは、単なる改憲・護憲論争ではありません。

いま問われているのは、憲法の根本的な効力そのものです。

それを直視しない限り、真の立憲主義は成り立ちません。