パシフィックアイアン2021

パシフィックアイアン2021

米国空軍が西太平洋で軍事演習(Pacific Iron 2021)を行いました。

むろん、その目的は中国軍に対し「米軍をなめていると痛い目に遭うぞ!」というメッセージを発出するための演習です。

演習には、なんと20数機のラプター(F22)を投入したという。

この最強ステルス戦闘機の異例の大配備こそが、中国への強いメッセージになると分析されています。

なにせ太平洋航空司令官のケン・ウイルスバッハ元帥ご自身が「太平洋航空軍の作戦地域にこれだけの規模のラプターが配備されたのは過去に例がない」と述べています。

因みにF22ラプターは、第5世代の戦闘機でステルス技術を取り入れた世界最先端の戦闘機であり、情報システムと搭載されたセンサーシステムを接続することにより搭乗するパイロットに戦闘空間の詳細な情報を提供することが可能です。

むろん、我が国はもちろん、中国においてもこのような戦闘機は保有していません。

たしかに、台湾や南シナ海など西太平洋の火種をめぐって関係が緊迫しているこの時期に、これだけのF22を演習に配備することは中国に対する即時的なメッセージになりましょう。

なぜなら、F22の通常配備は6機から12機で構成されることは中国も知っているはずですから。

なお今回の演習(パシフィックアイアン2021)は、中国が現在保有している全航空機の数と同等か、それ以上の数の第5世代戦闘機を短期間で戦地に配備できることを実証してみせるのが狙いのようです。

なお太平洋空軍の発表によると、パシフィックアイアン2021には、アイダホ州のマウンテンホーム空軍基地からF15戦闘機(ストライクイーグル)10機と、日本の横田基地からは輸送機(C-130J)2機が演習に加わり、空軍が「アジャイルコンバットプロイメント」作戦と呼ぶ分散型の戦闘態勢をとるとのことです。

この演習は敵のミサイル攻撃からの生存率を高めることが目的で、空軍当局は「より殺傷力があり、適応力があり、回復力のある軍事演習である」と豪語しています。

今回の演習よって、米国空軍の緊急展開能力が優れた状態を維持していること。

そして、もしも台湾や南シナ海での有事が勃発しても、グアムや沖縄に多数の戦闘機や攻撃機を配備していることから、関連する要員を短時間の内に展開させる能力を充分に保持していることを中国側に見せつけた格好となります。

そもそも、ここまで大規模な演習となると、もはや演習というより事実上の作戦展開ではないかとさえ思えます。

懸念されていた中国による台湾侵攻が、ますます現実味を帯びていることの証左なのかもしれません。