横田空域と日本の主権_条約優先の現実を問う

横田空域と日本の主権_条約優先の現実を問う

昨日(7月16日)、日本誠真会の吉野敏明党首が神奈川県を訪れ、川崎駅東口にて街頭演説を行いました。

私も応援演説の機会をいただき、現地に馳せ参じました。

吉野党首の演説の主題が「日本国憲法と主権の回復」であったことから、私はその前段として、現在も首都圏の空を覆い続けている「横田空域」についてお話しいたしました。

大東亜戦争の終結後、米国は日本の再軍備を防ぎ、自国にとって脅威とならぬよう徹底した管理体制を敷きました。

その一環として、首都圏の広大な空域を米軍の管制下に置く体制が整えられたのです。

これが、いわゆる「横田空域」です。

この空域は、横田基地を中心に設定されており、東京都の西部から神奈川・埼玉・群馬・栃木・福島・新潟・長野・山梨・静岡の各県にまたがる広大な範囲をカバーしています。

もちろん川崎市もこの範囲に含まれ、南部地域に加え、私の地元である多摩区や麻生区といった北部地域も対象となっています。

横田空域の存在は、日本の民間航空にも重大な制約を与え続けています。

たとえば、羽田空港に着陸する旅客機が千葉県側を大きく迂回して飛行しているのは、この空域による制限のためです。

また、風向きによっては、川崎市南部が羽田離陸機の飛行ルートになることもあります。

2008年には空域の一部が返還され、羽田の出発経路が多少改善されましたが、それでも依然として広大な空域が米軍の航空管制下に置かれており、自衛隊機でさえも米軍の許可なしには自由に飛行できません。

驚くべきことに、この横田空域には、日本の国内法上の明確な根拠が存在しません。

私たちが日々利用する道路は、「道路法」という法律に基づいて整備されています。

インフラというものは、ハード・ソフトを問わず、必ず何らかの国内法の裏付けを持つのが原則です。

ところが、横田空域については、国内法のどこを探しても、設定や運用に関する法的根拠が見当たらないのです。

では、いったい何を根拠に横田空域は存在しているのか。

その答えは、「日米地位協定」および「日米合同委員会の取り決め」です。

これらは、いずれも日本の主権の及ばない、実質的に一方的な外交交渉の結果として成立した「条約」や「協定」です。

つまり、私たちの頭上の空の一部は、日本の法律ではなく、外交的取り決めによって運用されているのです。

ここで問題となるのが、我が国の現行憲法の条文です。

日本国憲法第98条第2項には、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する義務を負う」とあり、憲法と条約が矛盾した場合、条約の方が優先される構造となっています。

この構造のもとでは、どれほど条約内容が不利であっても、締結されてしまえば、日本国民はそれに従うほかなく、国内法よりも外国との合意が優先されるという、極めて従属的な立場を強いられているのです。

一方、米国においては全く話が異なります。

米国憲法第6条も「条約は合衆国の最高法規である」と定めていますが、それは連邦法と整合性がある場合に限られます。

実際、米国では条約と国内法が矛盾した場合、国内法を優先するという判例が確立されています。

つまり、米国は自国の主権と法体系を守るため、条約に従属することはありません。

日本と米国の立場は、まさに対照的なのです。

吉野党首は、こうした条約構造のなかで「MSA協定(相互防衛援助協定)」が日本国民の健康に深刻な影響を与えてきたと訴えられました。

吉野党首の『健康問題は憲法問題である』という指摘には、私も深く共感いたしました。

このような現実に正面から向き合い、正しい憲法論と主権の回復を訴えている政党は、日本誠真会だけです。

今回の参議院議員選挙において、真に主権国家としての在り方を問う政党を、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。