自治会・町内会を再定義する_国民共同体に基づく地域づくり

自治会・町内会を再定義する_国民共同体に基づく地域づくり

全国的に自治会・町内会の加入率は低下しており、2021年度の全国平均は71.8%、大阪市では46.4%と半数を割り込みました。

その背景には、時代にそぐわない運営慣行、近隣関係の希薄化、共働き世帯増加による役員負担の忌避といった要因があります。

加えて、一部では地元住民による役員の独占、新住民への加入強制、ゴミ出し制限といった事例も見られ、地域分断の温床となっています。

本来、ごみ収集や防災拠点整備といった基盤的サービスは行政が責任を持つべきものであり、自治会がその肩代わりを余儀なくされている現状は「平時徴用」と言うべき状況です。

自治会は行政の代替機関ではなく、「同じ国民」が主体的に参画し、地域を共に運営するための開かれた公共空間として再定義されなければなりません。

こうした理念に立脚することで、地元主導の閉鎖性や序列意識を克服し、今ここに暮らす誰もが等しく地域の主人公として参画できる環境を整えることができます。

こうした課題を解決するためには、次の改革が不可欠です。

まず、ごみ収集や防災拠点の維持は行政責任として制度的に明確化し、自治会加入の有無による差別的取り扱いを禁止することが必要です。

これまで自治会は、ごみ収集や防災拠点整備など、行政が本来担うべき基盤的サービスを支えてきました。

つまり、行政の負担を肩代わりしてきたのです。

改めて強調すべきは、自治会は行政の肩代わりではなく、「同じ国民」が共に暮らしを支える開かれた公共空間として再定義されるべきです。

次に、藤沢市の「特別会員制度」や業務委託方式を参考に、役員の過重負担を是正し、「できる人が、できる範囲で」参加できる柔軟な仕組みを整備することが求められます。

また、若年層の参画は「地元意識の強化」ではなく「公共意識の涵養」と位置づけるべきです。

さらに、会計や意思決定の透明化を徹底し、市が監査や相談機能を提供することで、不公正な運営や排他性を防止することも重要です。

自治会・町内会は、あくまで強制加入ではなく任意参加を原則としなければなりません。

そのうえで行政が基盤的サービスに責任を持ち、自治会を「同じ国民による公共空間」として再定義することが可能となります。

この改革の実現こそ、市民の信頼を回復し、持続可能な地域社会を構築するための確かな道筋であると確信します。

これは川崎市に限らず、全国の自治体に共通する課題であり、普遍的に取り組むべき方向性です。