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感染ルート、辿っていけば…

14世紀の中ごろのヨーロッパでは、ペスト菌が蔓延し欧州人口の約3分の1の命が奪われました。
いわゆる「黒死病」です。
ペスト菌はネズミにつくケオプス蚤によって媒介され、死亡者の皮膚が黒ずんでみえたことから「黒死病」と呼ばれることになりました。
当初、その発生源は1330年代の中央アジアのイシク・クリ湖の周辺ではないか、とみられていたようです。
ところが近年、パリのパスツール研究所のバーバラ・ブラマンテ女史らの研究によって、その感染経路が学術的に裏付けらることになりました。(高山正之『週刊新潮・変見自在』)
ブラマンテ女史らは、ペスト禍で死んだ人々が埋められた集団墓地を発掘し、骨や歯から抽出したペスト菌の遺伝子を入念に調査しました。
欧州では黒死病騒ぎのほかにも6世紀にコンスタンティノープルでペスト禍が流行し、19世紀末には英国領香港から世界中にペスト禍が広がりましたが、女史らはこれらのペスト禍も合わせ、同様の手法で調査を行いました。
結果、これら3つの大流行の発生場所をそれぞれ辿っていくと、なんとシルクロードに沿って中国に行くつくという。
そう言えば、SARS(重症急性呼吸器症候群)も中国南部の広東省を起源とし、鳥インフルエンザも中国から香港に入って確認されたし、香港A型インフルエンザも中国が発生源とさています。
いわずもがな、今回の新型コロナウイルスもまた…
私はかねてより、国境を否定するグローバリズムに大きな疑問を抱いていましたが、政治、経済、文化、国防のほか、疫学の観点からも改めて国境の重要性を痛感します。
武漢では、街で売られている防菌マスクが不足していることもあり、日本円にして1枚450円ぐらいで売られているという。
因みに、きのう私がコンビニで買ったマスクは抗菌機能99%で、4枚入で260円でした。
むろん、悪質な便乗値上げも横行していらしく、客と店員が言い争っているTVのニュース映像が象徴的でした。
「国民」という観念がなく、「人民」という観念しか持ち合わせていない彼の国では「困ったときはお互い様」という文化や同胞意識が希薄です。
国境を超えれば、一国の文化や常識は通用しなくなります。
即ち、「公」の最大範囲は国境なのです。
それもまた歴史と現実が証明するところです。
なのに、どこぞやの首相に言わせると「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去った」のだそうです。
それって、鳩山由紀夫(元総理)の「日本国は日本人だけのものじゃない」と何が違うのか…
2020/01/28 |