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国民が豊かさを実感できる日は来るのか!?
先週、プレジデント社の運営するサイト「PRESIDENT Online」が、企業の内部留保について次のように記事にしていました。
「2018年度の日本企業の内部留保(利益剰余金)は、約463兆円」
「7年連続で過去最高を更新した」
(2020年1月13日付け)
内部留保が増えているのは事実ですが、「利益剰余金」を内部留保と捉えるのは誤りです。
利益剰余金とは、企業がそれまで積み立ててきた利益の総額のことですが、企業は利益剰余金の全額を現預金で保有しているわけではありません。
利益剰余金の一部から、実物資産を取得したり、あるいは負債を返済したりしています。
それでも残った部分、つまり利益剰余金のうち現預金で保有されている部分が、いわゆる「内部留保」になります。
企業が保有する現預金という意味での「内部留保」は、次のグラフのとおりです。

因みに、法人企業統計をみますと、企業の株主配当率も過去最高になっています。


企業は当期純利益から法人税を支払い、さらに株主に対して配当金を支払います。
さらにそこから、前述のとおり実物資産を買ったり負債を返済したりして、その上で残った現預金の累積が内部留保になります。
過去最高の配当率でも、これだけの内部留保が残るんですから凄いですね。
さて問題は、それでいて実質賃金が下がり続けていることです。


ご承知のとおり、生産年齢人口比率の低下による人手不足で、失業率は低下しています。
失業率の低下は労働市場の需給ひっ迫を意味しますので、賃金の上昇圧力となるはずです。
なのに現実には、そうはならない。
なお毎月勤労統計調査をみますと、2015年から常用雇用者は前年比で増え続けていますが、総実労働時間は逆に前年比で減少している月が多くみられます。
それは即ち、短時間労働者への代替が進んでいることを意味しています。
実質賃金は、労働生産性と労働分配率で決まります。
労働生産性 = 付加価値(GDP)÷労働量
労働分配率 = 人件費÷付加価値(GDP)
要するに…
実質賃金 = 労働分配率 × 労働生産性
…となります。
では労働分配率をみてみましょう。
2012年度は72.3%であったのが、その後減少しつづけ、2018年度は70.4%と低迷したままです。
生産の成果に対する勤労者への分配が相対的に減少しています。
企業の内部留保が膨れ上がっていることは冒頭で述べたとおりで、企業収益から勤労者へのカネの流れが滞っていることは一目瞭然です。
とはいえ、これを政治の力抜きで解決することは不可能です。
そもそもグローバリズム経済は、国民経済(実質賃金)を犠牲にして株主利益を追求するシステムです。
いわばグローバリズムがデフレを望んでおり、そのグローバリズム政策を進めてきたのは、まさに「政治」だからです。
だからこそ政治には、国民経済をとるか、あるいはグローバリズムをとるかの決断が、いま求められているわけです。
国民経済をとるのであれば、むろん政府による財政出動によってデフレを完全脱却することが必要です。
そうすれば、自ずと経済成長を成し遂げられます。
なお、これまで過度に緩和され続けてきた労働規制も再び強化していくことなどの補完措置も必要となります。
そこではじめて、実質賃金の上昇が実現します。
日本国民が豊かさを実感できるのはその時です。
「2018年度の日本企業の内部留保(利益剰余金)は、約463兆円」
「7年連続で過去最高を更新した」
(2020年1月13日付け)
内部留保が増えているのは事実ですが、「利益剰余金」を内部留保と捉えるのは誤りです。
利益剰余金とは、企業がそれまで積み立ててきた利益の総額のことですが、企業は利益剰余金の全額を現預金で保有しているわけではありません。
利益剰余金の一部から、実物資産を取得したり、あるいは負債を返済したりしています。
それでも残った部分、つまり利益剰余金のうち現預金で保有されている部分が、いわゆる「内部留保」になります。
企業が保有する現預金という意味での「内部留保」は、次のグラフのとおりです。

因みに、法人企業統計をみますと、企業の株主配当率も過去最高になっています。


企業は当期純利益から法人税を支払い、さらに株主に対して配当金を支払います。
さらにそこから、前述のとおり実物資産を買ったり負債を返済したりして、その上で残った現預金の累積が内部留保になります。
過去最高の配当率でも、これだけの内部留保が残るんですから凄いですね。
さて問題は、それでいて実質賃金が下がり続けていることです。


ご承知のとおり、生産年齢人口比率の低下による人手不足で、失業率は低下しています。
失業率の低下は労働市場の需給ひっ迫を意味しますので、賃金の上昇圧力となるはずです。
なのに現実には、そうはならない。
なお毎月勤労統計調査をみますと、2015年から常用雇用者は前年比で増え続けていますが、総実労働時間は逆に前年比で減少している月が多くみられます。
それは即ち、短時間労働者への代替が進んでいることを意味しています。
実質賃金は、労働生産性と労働分配率で決まります。
労働生産性 = 付加価値(GDP)÷労働量
労働分配率 = 人件費÷付加価値(GDP)
要するに…
実質賃金 = 労働分配率 × 労働生産性
…となります。
では労働分配率をみてみましょう。
2012年度は72.3%であったのが、その後減少しつづけ、2018年度は70.4%と低迷したままです。
生産の成果に対する勤労者への分配が相対的に減少しています。
企業の内部留保が膨れ上がっていることは冒頭で述べたとおりで、企業収益から勤労者へのカネの流れが滞っていることは一目瞭然です。
とはいえ、これを政治の力抜きで解決することは不可能です。
そもそもグローバリズム経済は、国民経済(実質賃金)を犠牲にして株主利益を追求するシステムです。
いわばグローバリズムがデフレを望んでおり、そのグローバリズム政策を進めてきたのは、まさに「政治」だからです。
だからこそ政治には、国民経済をとるか、あるいはグローバリズムをとるかの決断が、いま求められているわけです。
国民経済をとるのであれば、むろん政府による財政出動によってデフレを完全脱却することが必要です。
そうすれば、自ずと経済成長を成し遂げられます。
なお、これまで過度に緩和され続けてきた労働規制も再び強化していくことなどの補完措置も必要となります。
そこではじめて、実質賃金の上昇が実現します。
日本国民が豊かさを実感できるのはその時です。
2020/01/20 |