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可住地と可住地とを結ぶ交通網の欠如

昭和31年8月、日本政府は高速道路(東名・名神など)建設調査のために、世界銀行から調査団を招きました。

その名もワトキンス調査団。

調査団の団長がラルフ・J・ワトキンスだったから「ワトキンス調査団」といいます。

来日したワトキンスが「日本には道路はない。道路予定地があるだけだ」と述べたのは有名な話です。

その後、急激な道路交通需要の高まりに対応するため10次にわたる五カ年計画を積み重ね道路整備が進められたものの、先進諸外国に比べると未だ我が国の道路網は充分とはいえません。

例えば首都圏の一角を成す川崎市の道路整備率(都市計画道路)は未だ68%で、私の住む川崎市多摩区に至っては未だ52.2%です。

ワトキンスではないけれど、多摩区の道路の半分は計画があるだけ…です。

川崎市のみならず、日本全国を先進諸外国と比較してみると次の表になります。

日英仏独伊の道路網

ご覧のようにドイツなどは、まるでマスクメロンの表面のように無数の道路網が敷かれているのに対し、日本の道路網はスカスカです。

それでいて日本は道路整備に力を入れていません。

2002年から2012年までの平均年間装備増を諸外国と比較しても、斯くの如しです。

諸外国の高速道路の平均年間整備増

超自然災害大国である我が国は、人口の地域分散が必要です。

仮にある地域が被災しても、被災していない別の地域がバックアップ機能を果たすなど、有事にはお互いに助け合うことが可能です。

といって、地域ごとに人口が分散しすぎてしまうと、今度は商圏が分断されてしまい規模の経済の観点から経済発展を阻害します。

なので、分散した地域(可住地)と地域(可住地)とを結びつけるための、あるいは商圏と商圏とを集約するための交通インフラ網と情報インフラ網が重要になるわけです。

標高が500メートル以下で傾斜せず、かつ沼沢地でないなどの一定条件を満たす土地のことを「可住地」といいます。

工場を建てたり、農地を開拓したり、大勢の集落を収容したり、近代的な土地利用を行うには、どうしても「可住地」が必要です。

ご承知のとおり、我が国は山岳地が広いため、可住地は国土の27%しかありません。

イギリスでは可住地が85%、ドイツでは67%、フランスの73%と比べてみても、我が国の可住地面積の狭さが際立ちます。

意外に思われていますが、我が国の国土面積は先進諸外国に比べると実に大きい。

『THE TRUE SISE OF…』で、ヨーロッパの地図の上に日本の国土地図を重ね合わせてみると、北はバルト海から南はスペインの端っこにまで到達します。

THE TRUE SISE…

しかし、日本の国土は、そのほとんどが山岳地である一方、わずかな可住地が無数の川や山や盆地によって分断されているのです。

国土の主要部だけでも4島に分かれ、沖縄を含め南西諸島などの島嶼部をもっています。

本州と九州とを結ぶ「関門海峡」は1944年に既に完成していますが、4島全体を結んで国土を一体的に使えるようになったのは1988年であり、つい最近のことです。

また日本列島の最大幅は250キロメートルしかありませんが、東北の端から南西の端までの距離は直線にしても3,300キロメートルに達する極めて細長い地形をしています。

ドイツ、フランス、アメリカ、中国といった国々の国土が、ある程度に「丸い形」をしているのとは対照的です。

これらの国々では、中心部に拠点を置けば、全土の各地を放射状に結ぶことで連携することが可能です。

例えば、アメリカではシカゴやアトランタの空港が、フランスではパリ空港が、ドイツではフランクフルト空港がそれぞれハブ空港に成り得ていますが、我が国ではそのようにはなりません。

要するに、我が国の国土条件は先進諸外国と比べても極めて異質であり、その特殊性からも、何が何でも「道路」や「鉄道」(新幹線を中心とした鉄道網)で可住地と可住地とを結びつけていなかければならない宿命にあるのです。

なのに、プライマリーバランスの黒字化という愚劣な目標を掲げ、ひたすら緊縮財政によって公共投資を減らし続け、しかもそのことを圧倒的多数の国民が支持し、益々もって発展途上国化する我が日本国なのです。
2020/01/03

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