ブログ
病院事業会計の黒字主義に疑問!

川崎市議会では来年度予算案を審議する予算議会が開かれています。
来年度予算案のうち「病院事業会計」をみると、赤字分を補填する一般会計からの繰入金額は約80億円となります。
川崎市には行政が運営する「市立病院」が3つありますが、いずれも赤字経営です。
これをもって市議会では必ず「赤字の垂れ流しはけしからん…」「病院経営の怠慢だ…」「もっと経営努力しろ…」という意見が必ず出ます。
行政側(病院局)もまた「一般会計から繰入させて頂いて申し訳ない…」みたいにへりくだる。
しかしながら、公立病院が赤字経営なのは当然ではないでしょうか。
そもそも私などは「病院経営」という言葉からして気に食わない。
病院事業を運営することは「経営」とは全く異なります。
あくまでも「経営」とは利益追求が目的であって、医療機関は利益追求機関ではありません。
人の命を預かる分野(安全保障分野)にとって赤字は常のものです。
警察だって、消防だって、国防だって費用対効果からすれば赤字分野です。
当然です。
人の命をあずかる分野で、どうして医療だけは黒字でなければならないのか。
川崎市の病院局には「経営企画室」などという部署があります。
まずは、こうした部署名を変更することから職員の意識を変えねばならないのではないでしょうか。
さらに言えば、我が国では公立病院が医療機器を購入する際、割高で購入しなければならない現実があることなどは意外と知られていない。
とりわけ1980年代の米国とのMOSS(市場指向型・分野別)協議以来、我が国は割高な医療機器と医薬品を買わされています。
MOSS協議をきっかけにして、明らかに我が国の医療機器メーカーはその優位性を失いました。
冒頭のグラフが示しているとおり、医療機器についてはもともと輸出超過だった我が国は1990年代から2000年代にかけて輸入超過国になってしまいました。
財務省の緊縮財政至上主義により診療報酬は抑制されつづけ、医療機器や医薬品は割高で購入せねばならず、なおかつ地域医療の拠点病院として不採算診療をも厭わずに運営されている公立病院が黒字になろうはずもない。
川崎市の場合、病院事業会計からの繰入金額約80億円は総合計画で示されている上限金額です。
それを上回る繰入額は許されず、もし上限を超える場合には病院事業の何かをカットしなければなりません。
実に馬鹿げています。
これでどのようにして良質な医療を維持できるというのでしょうか?
2021/02/24 |