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貸出が預金を創出する

日銀当座預金が、2月15日時点で493.1兆円に達しました。
日銀による大規模な量的緩和は黒田総裁が就任された2013年3月からはじまりました。
以来、なんと8年間かけて430兆円以上もの日銀当座預金という「貨幣」を発行したわけですが、残念ながら未だ我が国はデフレから脱却できず、インフレ率はゼロ%のままです。
リフレ派は日銀当座預金を増やせば民間銀行の貸出が増えてデフレを脱却できると豪語し、財務省は財務省で「財政支出を拡大せずにデフレを脱却できるのであれば…」と言って、これに乗った。
ところが、数字(統計)と現実が示しているように、破綻したのは政府財政ではなくリフレ派理論です。
そして「このままでは日本は破綻するぅ〜」という、いわゆる財政破綻論もまた同時に破綻しています。
因みに、川崎市の来年度予算が一般会計で8000億円を超えることをもって、巷には「予算が大きすぎるぅ〜」と批判されている人たちがおりますが、もうほとんど意味不明です。
「予算規模(収支規模)が大きくなると破綻する」とでも思っているのでしょうか。
予算規模は市民経済への影響度によって決めるべきものであって、収支バランスで決めるべきものではありません。
市民経済の総需要が足りないのであれば、財政規模を拡大して需要を創造する必要があります。
2020年の川崎市のインフレ率(総合消費者物価指数)は年平均でゼロ%でした。
明らかな需要不足(名目GDPの不足)です。
よって、財政支出は拡大されねばなりません。
誤解を恐れずにいえば、ここでいう財政支出とは即ち財政赤字のことです。
行政の赤字が民間の黒字をつくるのですから。
さて、冒頭の図が示しているように、中央銀行がどんなに日銀当座預金を増やしたところでおカネの行き先まで管理することは不可能です。
それに、日銀当座預金という貨幣の発行が銀行貸出(預金量)を増やすわけではありません。
現実は、銀行貸出が預金を創出するのです。
なのにリフレ派及び主流派経済学は、準備預金(日銀当座預金)が預金量をコントロールできると錯覚し誤解した。
銀行貸出が増えない最大の要因は、デフレ(名目GDPの不足)です。
ゆえに、不足した名目GDPを埋めることのできる経済主体がその穴を埋めねばなりません。
ここでいう経済主体とは、むろん通貨発行権を有する政府であり、その手段は国債発行と財政出動です。
そのカネを各地方自治体に下ろしてくれれば、よりありがたい。
とはいえ、そのカネオを各地方自治体が収支バランスの均衡や債務返済に使ってしまったのなら何の意味もありません。
地方行政の首長と財政当局にも、正しい貨幣観(財政観)が求めれています。
2021/02/17 |