ブログ

HOME» ブログ »純国産OS「トロン」

ブログ

純国産OS「トロン」



パソコンを動かす基本ソフト(OS)といえば、圧倒的シェアを誇っているのはマイクロソフトのWindowsです。

OSには、ほかMacOS、ChromeOS、iOS、AndroidOS等々ありますが、実は我が国には純国産OSがあります。

その名は、トロン(TRON)。

The Realtime Operating system Nucleus の頭文字をとってTRON(トロン)。

トロンの研究プロジェクトを立ち上げたのは、東京大学名誉教授の坂村健博士です。

ご承知のとおり、情報通信の世界では、IoT(Internet of Things)の技術が産業応用や製品開発の中心となりつつありますが、そのIoT分野で市場占有率が6割以上を誇るのがトロンです。

因みにIoTとは、私たちの生活に関わるあらゆるモノ、そしてあらゆる場所に小さなセンサーやコンピューターを組み込んで、それをネットワーク化することで生活環境をより快適に、より便利にしようというものです。

要するに、利便性の高い情報化社会をつくるための技術といっていい。

さて、トロンのプロジェクトが発足したのは1983〜1984ですが、そのころ既に坂村博士はIoT社会の到来を予言されていたといいます。

先見の明とは、すごいものです。

そんな未来に備えて坂村博士は、OSを標準化させるためにトロン計画を発足したわけです。

その後、トロン計画は軌道に乗って順調に進み、そのままいけば純国産OSトロンが世界を席巻することとなり、いま私が文字を打ち込んでいるこのパソコンもトロンOSで動いていたに違いありません。

ところが、そうはなりませんでした。

日本の純国産OSが世界を席巻することに脅威を抱いた米国が、スーパー301条をもちだしてトロンを潰しにかかったのです。

まるで、日本国内初となる「民間がん保険」を日本の保険会社に売らせないようにしたのと同じです。

昨今、義務教育においてパソコンの必修化が進み、例えば川崎市の公立学校ではChromeOSが使用されていますが、トロン計画が順調に進んでいたころ既に日本国内では小学校教育用としてトロンOSパソコンの導入が決まりかけていました。

ところが、1989年に米国が前述のスーパー301条に抵触するとして圧力をかけてきたのです。

1989年といえば、冷戦に勝利した米国は既に日本を経済的仮想敵国とし「日米構造協議」を仕掛けてきた真っ只中でした。

それでも名指しで非難されたトロンは文書をもって米国に抗議しましたが、日本政府にそれを後押しする気概などあろうはずもなく無視されました。

結局、トロンはスーパー301条の制裁解除に1年を要してしまい、100社ちかく国内メーカーがトロンから手を引いてしまいした。

トロンが誕生し、そして潰された時期、不思議とWindowsが誕生しています。

Windowsでビル・ゲイツ氏が大儲けした一方で、坂村博士はトロン技術の発展や普及のみを願っていたことから、なんとトロンは無料でした。

しかしながらトロンが制裁を受けていた1年の間に、ほとんどのメーカーはトロンではなくWindowsの導入を進めていくことになりました。

専門家によれば、当初はWindowsよりもトロンのほうが断然に優れたいたようで、もしもトロンが主流だったらIoTの技術はもっと早く進んでいたらしい。

なお、1984年には既にトロン計画がはじまっていましたが、その翌年(1985年)の夏、日航機墜落事故が起きています。

この墜落事故で20名ちかいトロン開発者が命を落とされたことを付しておきます。

あれから30年以上が過ぎ、再びトロンが注目を浴びはじめました。

前述のとおり、パソコンなどの汎用OSではなく、IoTの核となる「組み込み用OS」として、トロンは既に世界の約40%(アジアでは約60%)のシェアを獲得するまでになっています。

OSには、大きく分けて2種類があります。

例えば外部保存したデータやアプリなどをネット経由で呼び出し、使用するクラウドサービスなどに使われている大型コンピューターでは、ポジックス(POSIX)という規格が使われていることが多い。

私たちが普段から使っているスマホのAndroidOSやiOSにもポジックスのプログラムが部分的に使われています。

このようなコンピューター用のOSは「情報処理系OS」、あるいは「汎用OS」と呼ばれています。

一方、電子機器に組み込まれている小さなコンピュータを制御するためのOSが「組み込み用OS」です。

例えば、デジタルカメラの内蔵電子機器にもトロンが使われています。

レンズを動かし、フォーカスを合わせ、シャッタースピードや絞りを光速で自動制御し、画像処理を行うことができるのはトロンのおかげです。

電気炊飯器が温度と蒸気を計測して美味しいお米を炊いてくれるのも、トロンが制御してくれているからです。

あるいは、自動車には、GPS等のカーナビ、インジェクション、エアコン、自動ブレーキ等々、数え上げればきりがないほど多くのセンサーや作動部品が組み込まれています。

それらを制御しているのもまた「組み込み用OS」としてのトロンです。

IoT化が進めば進むほど、今後も日本人の開発したトロンが世界中の機械制御に使われることになるでしょう。

米国電気電子学会では今頃になってトロンを基準規格として認定するための手続きが進められています。

汎用OSでは敗れたものの、日本で生まれたOSがようやく世界標準になります。

30年も遅れて…
2021/01/31

ブログ

セミナー

BLOG

議会報告書

メディア掲載

プロフィール