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新電力、需給逼迫で卸価格が上昇

新電力

電力は、在庫できない。

今この瞬間に私たちが使っている電気というものは、今まさにこの瞬間に発電されています。

その電気は送電線・変電所・配電盤などの送電網を光速で駆け抜け、私たちの手元に届いています。

即ち、発電からエンドユーザーまでが一気通貫であり、かつ在庫ができないことから、電力サービスは供給と需要が同時に行われるというビジネスモデルです。

なお、電力サービスのもう一つの特徴は、電気が送られてくる送電線や街の電線は残念ながら顧客別の色分けができないことです。

例えば、どこそこの電線を流れている電気は誰々のための電気です、というように電気を個別に区分け識別することができません。

ここが通信技術とは異なるところです。

なので、もしも送電線が切れたり、送電設備や変電所が破壊されたりすると、その向こう側の送電サービスは全滅することになります。

一昨年に発生した大型台風により送電線の鉄塔がなぎ倒された千葉県において、大規模な停電が発生したのはそのためです。

道路の場合は、一部のルートが寸断されたら他のルートを迂回すればいいのですが、電気はそれができないのでございます。

そうした中にあっても電力会社には、ユニバーサルに電力を供給するこが法的に義務付けられています。

例え、どんな僻地でも、たった一世帯でも、どんなにコストがかかろうとも、電力会社は送電線を敷設して電気を供給しなければなりません。

それがユニバーサルサービスです。

また、電力供給サービスの凄さは、電力の受給バランスを常に微調整し安定させていることです。

今ある電力需要に対し、瞬間的に供給しすぎても駄目ですし、少しでも不足すればアウトです。

例えば、2010年に中部電力の四日市火力発電所で瞬時電圧低下事故が発生しました。

瞬時というのは、わずか0.07秒です。

このわずか0.07秒という瞬時の電圧低下により、なんと東芝四日市工場のNAND型フラッシュメモリーの生産ラインが止まってしまい、100億円前後の損害を発生させました。

あるいはコスモ石油の製油所は3時間にわたり停電し、トヨタ車体いなべ工場に至っては塗装ロボットのデーターの一部が消失してしったとのことです。

これらを含め、大口企業146件に影響を与える事故となりました。

たった0.07秒の電圧低下で…

このように電力サービスには、安定的で良質な電気を供給することが求められています。

であるからこそ、この分野では安全保障上の理由もあって発電、変電、送電、配電までを一括独占で事業運営させてきたわけです。

ところが例によって、ネオリベラリズム(新自由主義)を信奉する人たちが「一社独占では競争原理が働かない」「電気料金が高いのはこのためだ」「だから電力を自由化すべきだ」と言いはじめ、結果、ネオリベラリズムに対して何の抵抗力もない我が国の政治は愚劣にも電力自由化に踏み切ったわけです。

自由化以前は、東京電力、関西電力、中部電力など各地域の電力会社しか電気を販売することはできませんでしたが、2016年4月の「電力の小売全面自由化」によってその制限はなくなり、様々な企業が電気の小売事業に参入することになりました。

いわゆる「新電力」による事業参入です。

従来からある地域の電力会社に比べ「新しい」ので新電力と呼ばれています。

川崎市議会においても「(行政改革の一環として)市役所も新電力の安い電気を買うべきだ」と主張している議員さんもおられます。

しかしながら、ご承知のとおり現在の我が国は、消費税増税と新型コロナという2つのショックが襲いかかっており恐慌経済に突入しています。

結果、全国的な電力受給の逼迫で卸売価格は高騰し、とりわけ新電力の経営が厳しさを増しています。

自前の発電所をもたない新電力では、なんと1月分の電気料金が通常時の2倍以上になるケースもあるといいます。

無責任に自由化を進めてきた政府(政治)は、新電力の経営を維持するために、即ち「電力の自由化」を維持するために国民に電気料金の値上げを押し付けるのでしょうか。

平時しか想定していないネオリベラリズム改革によって、結果として高いコスト(おカネだけではない)を払わされるのは国民です。
2021/01/16

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