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馬鹿げたスパイラル

去る10月、IMF(国際通貨基金)が公表した報告書に「日本の政府債務対GDP比が266%となった」と記載されたことを受けて、例によって日本経済新聞が「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い日本の財政事情は悪化の一途をたどる」と警鐘を鳴らしていました。
要らぬ警鐘ですが、敢えて言うなれば、日本政府の債務対GDP比率が高いのは、1998年以来、デフレ経済を放置してきた財政政策の結果です。
デフレ経済を放置してきた財政政策とは、むろん緊縮財政です。
因みに、緊縮財政の必要性を悪戯に煽って世論誘導してきたメディアの一つが日本経済新聞です。
先日、閣議決定された第三次補正予算においても、印紙税収入など8.4兆円の税収減が計上され、それを補うための赤字国債が発行されています。
もしも名目GDPが成長していれば、そのぶん税収が増えますので赤字国債(建設国債ではない)は自ずと抑制されます。
ゆえに今の日本は、次のような馬鹿げたスパイラルに陥っています。
緊縮財政 → デフレ化 → 名目GDPが増えない → 税収が増えない → 赤字国債の発行 → 「財政が破綻するぅ〜」だから緊縮財政
本当に馬鹿げています。
そこでぜひ、IMF、あるいは日本経済新聞は、次の2点について説明してほしい。
1.政府債務対GDP比が突出しているのに未だ日本は破綻(デフォルト)せず、日本よりも政府債務対GDP比が小さいギリシャやイタリアが破綻したのか?
2.政府債務対GDP比率が突出している日本の長期金利は、どうして世界で最も低いのか?
正しい貨幣観を持たぬものには説明できまい。
私にはできます。
1.日本は主権通貨国だが、ギリシャ、イタリアは共通通貨国であり主権通貨国ではないから。
2.デフレ下においては、主権通貨国の国債発行は金利を上昇させるどころか、むしろ低下させるから。
市中銀行がデフレ予想になっている以上、政府の国債発行残高とは無関係に金利は上がりません。
デフレによって資金需要が乏しい市中銀行としては、喉から手がでるほどに国債が欲しいわけですから。
一方、我が国では中央銀行たる日本銀行が量的緩和政策を継続しており、金融市場から国債を吸い上げています。
市場の国債が枯渇している以上、国債需要>国債供給、の状態となり、国債価格は上昇(金利は低下)するわけです。
即ち、インフレ率も金利も低い今の日本では、政府の国債発行に上限制約はありません。
国債増発と財政支出の拡大によりデフレ経済を払拭することこそ、もっとも優先されるべき国策です。
2020/12/27 |