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PB目標と物価目標は両立しえない

ETF

日銀は2013年以降、市中銀行の保有する国債を大量に買い入れるオペレーション、いわゆる量的緩和政策を行っています。

その目的は、むろん物価上昇率(コアCPI)2%を達成するためです。

市中銀行は手持ちの国債を日銀に売却することで、日銀に持つ当座預金(日銀当座預金)残高を増やします。
それ増やすことで市中銀行の貸出を増やさせ、モノやサービスの売り買いを活性化して物価上昇につなげるというのが日銀の目論見です。

ところが、増えるのは日銀当座預金残高ばかりで貸出そのものは増えることなく、物価上昇率(コアCPI)はゼロ%のままです。

なお当然ながら、市中銀行だって国債を無限に保有しているわけではありません。

市中銀行の保有国債には限りがあります。

ましてや、歴代政権による頑なまでのプライマリー・バランス黒字化目標が国債発行額を減らし続けてきたため、市中銀行の手持ち国債は枯渇してきました。

といって、まったく物価目標を達成できていない以上、日銀としては買いオペ(量的緩和)を止めるわけにはいきません。

でも市中には国債がない。

そこで苦肉の策として、日銀は市中銀行の保有するETF(上場投資信託)の購入枠を拡大してきたわけです。(ETFの買い入れ自体は2010年からはじまっている)

ETFの買い入れ枠を拡大しているからといって市中銀行の貸出が増えているわけでもないのですが、株価上昇という副産物だけはありました。

上のグラフのとおり、先月末時点で、日銀のETF保有額は簿価ベースで35兆円に達しました。(日銀は簿価会計)

ついに日銀のETF保有残高がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を上回ったことになるのですが、これを受けて日銀内では保有しているETFの有効活用やリスクを巡る議論が盛んになっているようです。

とはいえ、そんな話はどうでもいいのではないでしょうか。

国債であろうが、ETFであろうが、次の局面まで日銀が保有していればいい。

次の局面とは、この先、デフレが解消されインフレ局面になれば、こんどは日銀は「売りオペ」をしなければならず、国債やETFはそのときに売却すればいいだけの話ですから。

問題のポイントは、ETFであろうが、国債であろうが、これだけ日銀が市中銀行の金融資産を買い入れたところで、まったくもって物価目標を達成できていないことです。

詰まるところ、政府支出を拡大しないかぎり、物価目標は一向に達成されず、デフレは払拭されません。

本当は、日銀幹部はそのことに気づいているはずです。

政府支出の拡大を阻んでいる「プライマリー・バランスの黒字化目標」と日銀が目指す「物価目標」は、残念ながら両立し得ない目標であることを、この10年間で証明してきたのは日銀です。
2020/12/20

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