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携帯電話料金の引き下げよりも、国民の所得を引き上げよ!

菅総理が武田総務相と井上消費者相に、携帯電話料金の引き下げを検討する組織を設置するよう指示を出しました。
携帯キャリア各社の販売プラン、あるいは別ブランドへの乗り換え費用などを消費者が比較しやすいようにして、一層の値下げ競争を促させることが狙いのようです。
一見、「携帯料金が安くなるならいいじゃん」と思われがちですが、政府が行うべき経済政策としては根本的に間違っています。
政府が行うべきは、国民の所得を引き上げることであって、物価を下落させることではありません。
要するに現在の日本においては、携帯電話の料金が高いことことが問題なのではなく、それを支払う側の所得が低いことが大問題なのです。
上のグラフのとおり、日本がデフレに突入した1998年以降の平均所得は増えるどころか減っています。
これで豊かさを実感することなどできるはずもなく…
ゆえに、政府は携帯電話料金を引き下げるのではく、働く国民の所得を引き上げる政策を採るべきです。
GDP三面等価一致の原則からいくと、今回の携帯電話料金の引き下げによって携帯キャリアで勤務する人たちの所得(生産)が確実に減ります。
所得を減らした人たちは消費を減らすため、マクロ経済的には必ずデフレ圧力になります。
経済がデフレ状態にあるうちは、どんなに携帯料金を引き下げたところで多くの日本国民が豊かさを実感することはありません。
逆にデフレが払拭され、物価の上昇率以上に賃金が上昇していくことで、はじめて国民は豊かさを実感することができます。
なによりも、デフレ下で需要を創出できる最大の経済主体は政府です。
政府が財政支出を拡大することによって需要を創造すると、拡大した需要がまた貨幣と所得を創造します。
そしてインフレ率がマイルドに上昇しはじめたとき、はじめてデフレを克服したことになります。
そこに至れば、仮に携帯電話料金を引き下げなくとも、多くの人々は「携帯電話料金が高い」などとは思わなくなるでしょう。
物価上昇率より賃金上昇率が上回るのですから。
GDP(国民経済)を正しく理解できないと、今回のような「携帯電話料金の引き下げ…」という頓珍漢な政策が飛び出してくることになります。
2020/12/03 |