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少子化を活かす

「新型コロナウイルス禍にともない先進国の出生数が減少するだろう」と英国の調査会社ユーロモニターが懸念を表明しています。

とりわけ先進国の若年世代には雇用不安が広がっており、結婚や出産を先送りする動きが強まっていることから、このままいくと先進国全体の出生数は今年だけで0.3%減少し、来年2021年には1.3%減少すると予測しています。

さっそく日本経済新聞がこれをとりあげ「長期的に人口と労働力の低下につながれば世界の成長の足かせになる」と記事にしています。

日本経済新聞のみならず、一般的には「人口が増えない経済は成長しない」と言われることが多い。

しかしながら、経済成長が人口に比例したのは「産業革命」以前の話です。

産業革命以降は世界規模でみても人口増と経済成長率の間には相関関係はありませんし、むしろ先進国における人口増は経済成長の結果とみるべきです。

一方、経済成長とは無関係に人口が増えているのはアフリカ諸国で、もしも経済成長が人口に比例するならアフリカ諸国の多くが超先進国になっていなければ理屈が合わない。

日本の高度成長期(1960〜1973年)の実質GDP成長率は平均して10%を超えていますが、生産年齢人口(15〜64歳)の増加率は平均して1.7%しかありません。

高度成長期の人口増

この時期の日本もまた、人口増が経済成長をもたらしたのではなく、高度経済成長によって中間所得層が分厚くなり(豊かになり)、結果として人口が増えていったとみるべきだと思います。

因みに、この時期の日本は、外国から移民労働者を受け入れなかったことが功を奏しました。

民間企業は設備投資を盛んにすることで、年々拡大する国内需要を充たしたのです。

もしも多くの企業が設備投資を怠り、外国からの労働移民を受け入れて人手不足を補っていたならば、国民の実質賃金は上昇せず分厚い中間所得層は成立していません。

ゆえに、10年以上もつづく高度経済成長は実現できなかったはずです。

なお、投資先行の経済成長は失業率を押し下げました。

加えて当時は終身雇用だったので、若いうちから職につけば、個人個人が安定雇用のなかで仕事のスキルを上げていくことが可能となりました。

若年層失業率の高い社会ほど恐ろしいものはない。

なにより、あらゆることを吸収できる貴重で多感な時期に職につくことができないのです。

これでは20年後、30年後という将来、油の乗った燻し銀のスキルをもった人材が圧倒的に不足することになります。

幸いにして我が国は、少子化により若年層失業率がG20のなかでもっとも低い国です。

因みに、他国のことながら、南アフリカやイタリアやサウジアラビアの若年層失業率をみるとゾッとします。

我が国にとって少子化は必ずしも欠点ではありません。

少なくとも若年層失業率を押し下げています。

しかしながら、それを日本の政治が活かしきれていません。

失業率が低いということは、基本的に人手が不足しているということです。

人手不足を経済成長に結びつけるためには、次の二つの条件が必要です。

1.人手不足を補うための各種の投資(設備投資、技術開発投資、公共投資など)

2.企業の投資意欲を掻き立てるほどの需要拡大

残念ながら、今の日本に決定的に不足しているのは2です。

需要の拡大が見込めなければ、経営者は「投資拡大」の決断などできません。

言うまでもなく、デフレ期に需要(総需要)を創出できるのは、政府による財政支出の拡大だけです。

若年層失業率
2020/11/22

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