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インフラに占める構造物比率

世界史上、紛争による死者数で最も多いのは第二次世界大戦の約5,500万人でした。

戦争や紛争による死者数といえば、例えば毛沢東の粛正やモンゴルによる侵略がともに4000万人。

安史の乱で3600万人、明王朝の崩壊によって2500万人。

一方、我が国においては、内乱で最も死者数が多かったのは島原の乱(数万人)なのですが、他国の死者数に比べると極端に桁が違うことに気づきます。

戦国時代においても、織田信長による一向一揆や比叡山に対するジェノサイドを除けば、ユーラシア大陸の歴史でみられるような殺戮の事例はほとんどありません。

そのかわり我が国では、多くの人々が自然災害でお亡くなりになっています。

そこに住む民族にとっての脅威が「侵略や紛争」にあるのか、それとも地震や津波などの「自然災害」にあるのかは、その民族性や、その民族がつくる都市形態に大きな違いを与えます。

ある日突然、地平線の向こうから山賊など侵略民(異民族)がやってくるような地域では、街全体を城塞化する「都市城壁」を構築する必要があったわけで、そこに日本のような「城下町」という発想は微塵もない。

また日本では、国内が最も戦乱に明け暮れた戦国時代であっても、戦闘はあくまでも殿様と殿様たち同士の領土獲得争いであって、住民皆殺しという結末はほとんどなかったわけです。

その意味で、古来より日本人は自然災害こそが真の脅威だったといっていい。

また我が日本国は、世界有数の山国です。

国土面積に占める森の割合(森林率)は、主要国の中でなんと第3位です。

因みに、国土面積に対する可住地面積の割合は27.3%で、イギリスの84.6%、フランスの72.5%、ドイツに66.7%に比べて極めて小さい。

可住地面積とはヒトの住むことのできる面積のことですが、このことは農業に大きく影響します。

なぜなら耕作地面積でみると、日本はインドやアメリカの40分の1程度ですので…

このような条件下で、インドやアメリカと対等に農業戦争(自由貿易)を戦えるわけがない。

要するに、日本の国土条件は特殊なのです。

このように山が多く、かつ自然災害大国の日本では、道路を造る際、トンネルや橋をたくさん造らなければなりません。

インフラに占める構造物の割合も高くなります。

驚くなかれ、フランスの構造物比率は4.2%、アメリカは7.0%、ドイツは10.0%程度なのですが、日本は33.4%です。

日本の国土的条件や日本が自然災害大国であることを考えれば、諸外国と比べて日本の公共投資が対GDP比率で高くなるのは当たり前です。

ところが、1997年以降の「緊縮財政」によって、公共投資が減りに減り続けて、今や構造物比率が4.2%フランスと同じになってしまいました。

よく言われているように、フランスのドゴール空港の橋脚と阪神高速道路の橋脚とでは、その太さが全然違います。

フランスの橋脚は薄っぺらな板と柱できています。

それでもフランスには大きな地震がないので大丈夫なのですが、日本は地震大国なので、しっかりとした耐震工事が必要なのは当然でフランス並みの公共投資でいいはずがありません。

OECD主要国における一般政府の公的固定資本形成は増加傾向なのですが、残念ながら我が国はこの15年で半減しています。

公的固定資本形成(≒公共投資)の対GDP比率をみますと、次のとおりです。

公的資本形成対GDP比率

なお、日本は1998年以来のデフレで、分母となるGDPそのものが増えていないことをも考慮しなけれなりません。

地震や台風で多くの人の命が失われてきた過去を持ちながら、それに備えるための公共投資をひたすら削ってきたのが我が日本なのでございます。

事態は、それほどに深刻なのです。
2019/12/17

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