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人材投資 vs 雇用調整

総務省から8月の『労働力調査』が発表されました。
言わずもがな、昨年10月の消費税増税とCOVID不況とが折り重なって雇用情勢が悪化しています。
とりわけ、企業業績の悪化で非正規労働者の雇用調整が顕著です。
8月の非正規の職員・従業員数は前年同月から120万人の減、6ヶ月連続で前年同月を下回っています。
むろん、これに伴い失業率も上昇しています。
先行き不透明な中、企業の新規採用が増える見込みは立ちません。
非正規の職員・従業の内訳をみますと、パート・アルバイトが前年同月で73万の減、派遣社員が13万人の減、契約社員が20万人の減、嘱託が14万の減、その他が2万人の減でした。
例によって、経済情勢が悪化すると、まっさきに調整されるのは非正規の職員・従業員です。
1999年に労働者派遣事業が原則自由化されたときにも、その目的が「企業が人件費を容易に抑制できるようにすること」にあることは明らかでした。
因みに、2004年には製造業における労働者派遣が解禁されています。
企業にとって正規の職員・従業員の給与は固定費ですが、経営状況次第で首が切れる派遣社員の給与は変動費にあたります。
前者は人件費が人材投資の意味を持ちますが、後者の場合は人材投資の意味を持ちません。
人材投資とは、正規雇用で相応の給与を安定的に支払うことが基本です。
景気が悪くなったら首を切られる………では、会社に対して従業員ロイヤルティを維持することは困難です。
技術を含め従業員が各種のスキルを高めていくためには、できうるかぎり長期的かつ安定的な雇用環境が必要です。
ゆえに求められる政策は、一に財政出動(目的は需要創出)、二に逆構造改革(非正規から正規へと雇用環境の転換)です。
需要がなければ企業は人材投資を行えず、雇用規制を元に戻さねば雇用そのものを守れません。

2020/10/04 |