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石油…この悩ましき地政学ファクター

原油価格

OPEC(石油輸出国機構)が2020年の石油需要見通しを下方修正しました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気低迷によって需要回復ペースが失速していますが、来年(2021年)の需要持ち直しも従来予想よりもだいぶ遅れてしまうとみているようです。

17日に予定されているOPECプラス(OPECに非加盟国の主要原産国を加えた会議)でも「減産」が検討されるとの憶測が広がっています。

いわゆる「気候変動対策」を背景に、今後の石油需要の減少はそれなりに想定されていたことでしたが、新型コロナによる影響で拍車がかかった格好です。

石油で戦争がはじまった苦い経験をもつ日本という国に生まれた者にとって、原油価格の動向は実に気になる政治マターです。

国際社会が化石燃料への依存を減らそうとする潮流にあるなか、ここにきて石油や天然ガス資源の発見が相次いでいます。

つい先日、BP(英国石油大手)がアフリカのモーリタニアでガス田を発見しています。

あるいは昨年、エクソンモービルが南米のスリナム沖合で大規模油田を発見しています。

その推定埋蔵量はまだわかりませんが、一説には一人あたりの所得が6,000$未満の南米の小国を一変させるほどの資源量だとも言われています。

とはいえ、新たな資源の発見がこれまでのように小国を一変させるような打ち出の小槌になるとは限りません。

なぜなら長期的には化石燃料の価格は低下していくと考えられるからです。

例えば中国やEUなどの巨大市場を有する地域では、化石燃料の消費抑制にインセンティブを与える政策が次々と法制化されており、イギリス、フランス、中国、インドなどは、将来的にはガソリン車の販売を禁止していくことを表明しています。

一方、このまま石油価格の下落状態がつづけば、石油開発の採算が合わなくなるでけでなく、その他のエネルギー開発の採算も合わなくなる可能性があります。

既にグローバルな天然ガス市場においても供給が飽和状態にありますし、加えて今後さらに省エネ技術が進展すれば、資源エネルギーそのものの需要も低減されていきます。

そのことは、石油代替エネルギーの開発や利用をも後退させるかもしれません。

といって、資源価格の低下が必ずしも国際社会にハッピーな結果をもたらすわけではありません。

例えば中東やロシアなど、石油資源への経済依存度が高い国々は経済的に困窮します。

彼らは、地政学的リスクの高まりが資源価格を高騰させることを知っています。

そのことが資源国に冒険的な国際紛争を引き起こさせる動機にもなりかねません。

なお、石油価格が下落すればするほどに、米国の中東への関心が低下して中東情勢が不安定化する可能性が常につきまといます。

いつの時代でも、資源問題は極めて重要な地政学ファクターです。
2020/09/15

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