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今や「謙虚さ」においても…

Y-20

「素人は戦術を語り、プロは兵站を語る」とも言われますが、輸送能力は軍事上の最重要項目の一つです。

戦争の勝敗は物資の輸送能力で決まる、と言っても過言ではありません。

輸送には陸送、海路、空輸の3つの手段がありますが、とりわけ軍事においては空輸が戦局を左右します。

例えば、どんなに高性能の戦車を保有していても、肝心なる戦闘地域に戦車を投入できなければ意味がありません。

現在、我が国は全国各地に戦車を配備していますが、某国が離島に侵攻してきたとき、大量の戦車を投入するには輸送する必要があります。

戦車などの重兵器の輸送には輸送船を使うこともありますが、輸送スピードが遅いことがデメリットです。

ゆえに開戦直後に重兵器を投入するには、空からの輸送が欠かせません。

輸送機には、2種があります。

一つは、基地から戦闘地域に兵站を輸送する戦術輸送機。

もう一つは、大洋を超えるなどして基地から基地へと大量の物資を輸送する戦略輸送機。

日本が主力とする最新輸送機は、C-2という戦術輸送機です。

1973年から運用開始されたC-1を、2016年から順次、C-2に切り替えて運用をスタートしています。

C-2の最大積載量は35トンで、航続距離は4500キロメートルです。

我が国は国土の7割を山林が占め、無数の河川によって分断された狭い平野には居住地が密集しています。

そんな日本では、舗装されていない滑走路、あるいは長さが充分ではない滑走路から飛び立つ離陸性能が求められます。

C-2はそんな性能を有した戦術輸送機です。

因みに2015年まで主力として運用していたC-1の最大積載量は8トン、航続距離は1500キロメートルでした。

一般的な軽装甲者の重さでも5トンですので、C-1輸送機では軽装甲車2台すらも輸送できません。

C-1の輸送能力がどれほどのものだったのかがよくわかります。

なんとそれが2015年まで主力の輸送機だったわけです。

全世界を活動範囲とする米軍と比較するのもなんですが、米国の最新戦術輸送機C-17(グローブマスター3)の最大積載量は77トン、航続距離は5000キロメートルです。

米軍の戦略輸送機C-5に至っては最大積載量122トンで、これら輸送能力を充実させることで地政学的な緊張度合いの高まりに応じ柔軟に軍事リソースを配分しています。

一方、中国が開発した輸送機Y-20の最大積載量は66トンで、7800キロメートルの航続距離を有、しかも音速にちかい速度で輸送します。

これを400機も配備しようとしていることは、我が国の安全保障にとって実に大きな脅威です。

しかも油断できないのは、Y-20を開発した中国がこれを自画自賛していないことです。

一昔前の中国であれば、事実とは無関係に「我が国の輸送機の性能はダントツであり世界最強である」と豪語しているところでしょうが、現在の中国は「米軍のC-17にはその性能で遠く及ばない」ことをあっさりと認めています。

ここに、むしろ中国の自信がみられます。

彼らは「自国で生産し運用し、さらには軍事上の経験を積んでいけば、より大きなメリットを得ることができる」ことを知ったのです。

日本がC-2輸送機を運用しはじめたとき、日本のメディアは「最強の輸送機だ」と絶賛しましたが、根拠なく自国の軍事力を褒め称えることは極めて危険です。

我が国は経済力や技術力とともに、今や「謙虚さ」すらにおいても中国にその優位性を奪われています。
2020/09/12

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