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割り算を理解できない人たち

家計消費の動向を知る有益な統計の一つが総務省の行っている『家計調査』です。

きのう(8日)、総務省から発表された7月の『家計調査』によれば、1世帯(二人以上の世帯)あたりの消費支出は26万6,897円で、物価変動の影響を除いた実質値で7.6%の減(前年同月比)となりました。

さっそくグラフにしました。

実質消費支出

ご覧のとおり時系列でみると、10カ月連続のマイナスとなっています。

また、帝国データバンクによると、9月8日(16時現在)の段階における「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)は、全国で500件に及んだとのことです。

内訳をみますと、①法的整理429件(破産398件、民事再生法31件)、②事業停止71件で、なお業種別みますと、最も多いのは「飲食店」の69件で、次いで「ホテル・旅館」が53件、「アパレル・雑貨小売店」が34件、「建設・工事業」が33件、「食品卸」が29件、「アパレル卸」が21件となっています。

新型コロナ関連倒産

ここでは「コロナ関連倒産」ということになっておりますが、むろんコロナ禍の影響もさることながら、度重なる消費税増税による影響も大きいことを申し添えておきます。

驚いたことに、今朝のワイドショー番組では「経済が落ち込んでいるのはPCR検査の検査数が少ないからだ」という結論に至っていました。

この世では、割り算を理解できる人と、割り算を理解できない人の2種に分かれます。

とりわけ政策立案者が割り算を理解できない場合、世に甚大な不幸をもたらします。

また、割り算を理解できない人たちがワイドショーなどのTVメディを使ってデタラメ論を撒き散らすこともまた然りです。

何度でも言いますが、厚労省が6月上旬に行った大規模で無作為の調査によって、日本における新型コロナウイルスの感染者数は1,000人に1人の確率であることが判明しました。

1,000人に1人です。

これを検査前確率といい、この場合、検査前確率は0.1%となります。

さてそこで、あなたがもしも10万人の人口を有する都市の市長だったとします。

「PCR検査の拡大を訴えると票になるから…」と考え、10万人市民全員に対してPCR検査を行ったとしましょう。

はて、いったいどのような結果になるでしょうか?

割り算と確率から想定してみましょう。

検査前確率は0.1%ですので、10万人のうち実際に感染している人の確率は100人です。

ところが、100人のうち正しく「陽性」と診断されるのは70人です。

なぜなら、PCR検査の平均感度は70%だからです。(偽陰性)

感度とは病気の人を正しく病気であると診断できる確率のことですが、PCR検査の場合、病期によって感度はもっと下がります。

ゆえに感染している30人は「陰性」と誤診されて、街を闊歩することになります。

さらに問題なのは特異度です。

特異度とは、病気でない人を正しく病気でないと診断できる確率のことです。

PCR検査の特異度は97〜99%ですが、ここでは最大限に甘く見積もって99%とします。

よって感染していない9万9,900人のうち、999人は感染していないにも関わらず「陽性」と診断されてしまうことになります。(偽陽性)

9万9,900人 × 1% = 999人

当然のことながら、この感染していな999人を医療機関等において不要に隔離しなけれなりません。

むろん、そのために医療機関ほか保健所等の関係機関の費用とマンパワーが奪われます。

なお、偽陽性者999人の経済活動が強制的に停止されることになります。

それどころか、もともと感染していないのに、下手をすると施設内で新型コロナに感染してしまう可能性すらあります。

もしも高齢者や基礎疾患をお持ちの方であれば命にかかわります。

加えて、PCR検査の費用を1回3万円としても、最低でも30億円かかります。

通貨発行権もなく財政制約に縛られた地方自治体にとって30億円という予算は実に大きい。

人口152万人の川崎市にとってでさえも30億円という予算はけっして小さくありませんので、人口10万人の自治体ではなおさらです。

なによりも10万人検査のために、貴重なる人員(マンパワー)が奪われるのは、地域医療にとって大きな打撃です。

だいたい10万人を検査するのに何日を要するのか。

それでも…

「1人でも感染者がみつかればいいじゃないか」と言う人は、割り算を理解できない人です。

PCR検査は、必要な人に対して複数回を行わなければ効果を発揮できません。

誰でも、どこでも、いつでも…みたいに不特定多数に対し闇雲にPCR検査を拡大することに何の意味があるのでしょうか。

ただただ、おカネをかけて混乱を招くばかりです。
2020/09/09

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