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中共体制の憂鬱

中国の原油輸入額

中国は、アジア最大の原油輸入国です。

その中国では7月の米国からの原油輸入量が366万5,800トン(6月の約6,2倍)となり、過去最高を更新したとのことです。

税関当局によれば、今年前半(1月〜4月)は米国からの原油輸入量は少なかったものの、5月には突如として54万9,800トンに増加し、以後は月を追うごとに増え続けているようです。

ご承知のとおり米中は、今年の1月に貿易協定「第1段階」に合意しました。

いわば、トランプ大統領と習主席による「貿易戦争休戦協定」です。

このとき習主席は、向こう2年間で米国産のエネルギー関連製品の輸入を524億ドル(約5兆5700億円)分増やすと約束しています。

米国からの原油輸入量の飛躍的な増大は、そうした背景があってのことだと思われます。

とはいえ、貿易戦争はあくまでも休戦であって、今後だれがホワイトハウスの主になろうとも、今後とも米中経済のデカップリング(切り離し)路線は継続されていくことになるのでしょう。

例えば米国は対中経済依存度を低下させつつ、容赦なく中国のパワーを制限していく戦略にでるでしょうし、それを見据えてのことか中国もまた輸出依存度を低下させるなどして経済自立性を高めています。

2006年の中国の輸出依存度は32.3%もありましたが、2018年は17.7%にまで低下していますので、ワシントンの政策担当者たちが考えるほどに需要面において中国の経済成長を抑え込むことは意外と困難なのかもしれません。

輸出依存度

とはいえ、中国は戦略物資の多くを輸入に依存しています。

現に、国力を増強するにつれて中国の資源輸入量は増えています。

鉱物金属資源輸入額

そこで中国は、輸入に依存する戦略物資の備蓄を急いでいます。

例えば日本経済新聞によれば、前述の原油のほか、車載電池に使うコバルト、肥料原料のカリウム等の備蓄量を積み増し、穀物在庫もまた高水準で推移しているようです。

もしもワシントンの対決的な戦略姿勢(デカップリング路線)が功を奏し、中国経済にそれなりの衝撃を与え続けることができれば、中共体制(中国共産党体制)の求心力に楔を打ち込める可能性は充分にあります。

いまワシントンでは、「中国(China)」の呼称は使わず、CCP(Chinese Communist Party)とChinese(中国人民)とを明確に区別しているようです。

即ち、中共と、それによって抑圧される人民とを完全に区別しているわけです。

皮肉なことに国内経済拡大とともに、中国人民には多くの中間層が生み出されました。

実は、独裁的体制にとっての最大の脅威は「中間層」です。

一定の教育を受け、一定の生活水準を教授してきた中間層が徐々に好ましい雇用につくことが不可能となり、デカップリング経済により生活レベルまでもが停滞するようになれば、やがて中間層人民は現在の指導体制を敵視するようになっていくことでしょう。

加えて中共体制は、チベット、ウイグル、香港など、民族的抵抗や民主主義を求める反体制勢力をも抑え込まなければなりません。

こうした周辺地域での地政学的緊張が高まりで中共体制が倒されることはないでしょうが、必要以上に強権的かつ暴力的な措置で強引に彼らを封じ込めようとすれば、国際的な批判にさらされることになります。

もしかすると今後は、アジアのみならず、ヨーロッパにも対中包囲網が形成される可能性があります。

これらのことを考慮すると、習近平体制の置かれた状況は予想を遥かに超えて脆弱なものなのかもしれません。

いずれにしても、米中デカップリングによる経済低迷、あるいは新型コロナウイルスの長期化や気候変動次第では、いつ物資不足が発生してもおかしくありません。

それらが体制批判に飛び火するのを防ぐため、まずは戦略物資の確保が必要だと考えているのでしょう。
2020/09/07

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