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3倍速で進むワクチンビジネス

一向に収束の目処がたたない新型コロナウイルスですが、世界ではワクチンを待ち望む声が高まっています。
現在、開発中にある新型コロナのワクチン候補はなんと160にも及んでいます。
WHO(世界保健機関)によるパンデミック宣言以来、猛烈なワクチン開発レースがはじまりました。
ワクチン開発のトップランナーは英オックスフォード大学で、次いで中国の北京理工大学、米モデルナ社、英アストラゼネカ社と続き、治験の段階に進んでいるものは21あるらしい。
そうしたなか、ロシアのプーチン大統領が「コロナワクチンの開発に成功し、規制当局がスプートニクVワクチンの使用許可を出した」と発表しました。
欧米メディアは、プーチン大統領の名声を高めることが優先され、開発にあたって標準的承認の重要プロセスがだいぶカットされているのではないかと揶揄しています。
専門家のあいだでもスプートニクVワクチンの安全性に対する懸念がでているようで、ロシア臨床試験組織協会ですら連邦保健省に「適切な最終段階の治験が完了するまでワクチンの承認を延期するように」と警告したとのことです。
もしもワクチンがロシアの宣伝どおりに機能しなければ、プーチン大統領の名声は内外で失墜し痛手も大きいものでしょう。
さて、日本政府は2021年前半までに全国民に提供できる数量のワクチンを確保するとしています。
既に米ファイザー社と来年6月末までに1億2千万回分の供給を受けると合意し、英アストラゼネカ社とも1億2千万回分の供給を受けると合意したとのことです。
一方、政府は、国産ワクチンとして、規制改革会議のメンバーである大阪大学の森下氏が立ち上げたベンチャー企業「アンジェス社」が開発するDNAワクチンの開発に20億円を投じています。
本来、ワクチンが製品化されるまでには、臨床試験→安全性確認→承認のステップを必要としますが、今回は「緊急事態」を理由にこれらのプロセスをできるだけ短縮化しようとしているようです。
現に厚労省は国内初の新型コロナ治療薬としてレムデシビルをたった4日間という驚異のスピードで承認しています。
これだけスピーディーにワクチン開発が進められると、ワクチンの副作用としてよく知られるサイトカインストーム(免疫異常暴走症状)など、安全性への影響はないのでしょうか。
各国政府の最大の目的は「新型コロナウイルスの感染拡大を抑止し、とにかく死者を出さないこと」にあるはずですが、自国民へのワクチン供給を優先すること自体が目的化されているような気がします。
厳密に言うと、ワクチンは薬ではありません。
であるからこそ、より安全性が求められます。
2020/08/29 |