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貸すカネはあるのに…

都市銀行、地方銀行、第二地銀、外国銀行、信託銀行等は、私たち一般個人が最寄りの銀行に口座をもっているように中央銀行たる日銀に口座(当座預金)をもっています。

いわゆる「日銀当座預金」です。

これがあるがゆえに、私たちは例えば東京にあるA銀行の預金口座から、大阪にあるB銀行の預金口座への振り込みが瞬時にして可能です。

AとBの金融機関同士がお互いの日銀当座預金で決済してくれているわけです。

あるいは、政府の国債発行オペレーションもまた日銀当座預金を通じて行われています。

よく国債の原資が国民の預貯金であるかのように言う人たちがおられますが、これは明らかな間違いです。

「今は国民の預貯金があるからいいけれど、これが尽きたらもう国債を発行できない…」みたいに平然と嘘を言う。

政府が国債を発行する際の原資は、国民の預貯金とはまったく関係がありません。

政府もまた日銀に当座預金をもっており、政府国債の発行と償還は、銀行と政府の日銀当座預金間で額面がデータ上で動いているだけです。

実際に現金が動いているわけでもありません。

さて、その日銀当座預金の内訳をみますと、次の3つから構成されています。

① 基礎残高(基準平残 - 法定準備)
② マクロ加算残高(基準平残 × 基準比率、法定準備等)
③ 政策金利残高(当座預金残高のうち①と②を上回る金額)

概ね金額にすると、①が約230兆、②が約180兆円、③が40兆円ぐらいです。

本来、当座預金に金利が課されることはありませんが、デフレ脱却をめざしている日銀としては、緊急的に①に対してプラス金利(+0.1%)を課し、③に対してはマイナス金利(-0.1%)を課しています。

①にプラス金利を課す理由は、量的緩和(銀行の国債購入)を円滑にするため。

③にマイナス金利を課す理由は、企業や家計への貸し出しを増やすためです。

さて、ここにきて②のマクロ加算残高が増えています。

日本経済新聞によれば、この7月まで3カ月連続で過去最大の残高を更新しているとのことです。

むろん、新型コロナウイルスに対応した日銀による資金繰り支援(優遇措置)などの結果なのでしょうが、一方でマイナス金利を貸している③政策金利残高は7月に約2割減少したとのことです。

とはいえ、そもそも民間金融機関が企業や家計におカネを貸し出すにあたっては、日銀当座預金を貸し出しているわけではありませんので(銀行は無から銀行預金を発行できる)、日銀当座預金にマイナス金利を課したところで余り意味はありません。

また日銀当座預金は、無から銀行預金を発行できるそれぞれの金融機関に対して発行量の制約を課すために設けられているものでもあります。

日銀は民間金融機関に対して「発行した銀行預金量の何%分の日銀当座預金を積み上げなさい」としています。

これがいわゆる「法定準備制度」です。

現在の法定準備率のなかで最も低い水準である「定期制預金 2兆5,000億円超」の預金準備率は1.2%です。

そして7月の準備預金残高は、388兆円です。

よって、日本国内のすべての金融機関の貸し出し限度額(最低)は、3京2,333兆円となります。

ところが、実際の貸し出し残高(7月時点)は?

たったの1,111兆円です。

金融機関はもっとおカネを貸したいけれど、デフレ経済の長期化によって残念ながら借り手がいないのです。

厳密にいえば「貸したい借り手がいない…」と言ったほうが正確かもしれません。

要するに、政府が借り手使うほかにでデフレ脱却の手段はない、ということです。

因みに、世に出回っている通貨(預金通貨及び現金通貨)量を、日銀が発行した通貨量(マネーストック)で除したものを「貨幣乗数」と言います。

デフレが深化するほどに貨幣乗数は減少していきます。

いまの日本の貨幣乗数は、なんと2.0です。

日本に戦争を仕掛けたルーズベルト大統領時代のデフレ米国の貨幣乗数は、2.5でした。

事の深刻さをご理解いただけるものと存じます。

貨幣乗数
2020/08/27

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