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レバノンから学ぶべきこと

先日(8月4日)、レバノンの首都ベイルートの港で大規模な爆発が発生しました。

ただでさえ内戦が長引き、爆弾テロやイスラエルによる空爆などに見舞われてきたレバノン国民の不満が、今回の港での大規模な爆発にとももに頂点に達しました。

政府に対する抗議暴動が激化しています。

港湾倉庫での火災が、近くで保管されていた大量の硝酸アンモニウムに引火したことで大爆発を引き起こしたようですが、首都という人口密集地の港湾に爆発物にも化学肥料にもなる大量の危険物質が杜撰な管理体制で放置されてきたことに驚かされます。

政府の怠慢に、レバノン市民の怒りが頂点に達するのも宜なるかな。

ただ、政府の怠慢というよりも、長引く内戦で国内供給能力が毀損され、危険物質を盤石に管理するためのヒト(人材)、モノ(施設)、ノウハウ(技術)そのものが既に毀損されてしまっているのでしょう。

いつの時代でも、そして洋の東西を問わず、ヒト・モノ・ノウハウこそが、まさに国力です。

今回の爆発事件以前に、既にレバノン政府は財政破綻(債務不履行)していたわけですが、港での爆発事件とレバノン政府の財政破綻は皮肉にも原因は同じです。

ただでさえ、レバノンの国内供給能力(モノやサービスをつくる力)は脆弱であったにもかかわらず、長引く内戦によりさらに脆弱化してきました。

ゆえに貿易赤字が嵩み、下のグラフのとおり、経常収支が極度に赤字化しました。

レバノン 為替相場

経常収支の赤字化は、その国が発行する通貨の価値を弱くします。

即ち、レバノンポンドが下落するわけです。

しかしながら、変動為替相場制により通貨価値の下落を容認してしまうと、輸入物価が高騰するため国内のインフレ率が過度に上昇してしまうことになります。

過度にインフレ率が上昇すれば、国民生活は著しく苦しくなり、政府への不満と革命圧力が高まります。

それを恐れるレバノン政府は、固定為替相場制を採用し、レバノンポンドを1,508 lcu/us$で支えてきました。

レバノン 為替相場

支えるためには何が必要か?

むろんUS$です。

とはいえ、US$は石油のように地下から湧き出てくるわけではありません。

しかたなくレバノン政府は外債を発行しUS$を調達してきましたが、終にその外債を償還することができなくなってデフォルト(債務不履行)したわけです。

レバノンの事例は、国内の供給能力を失った国が陥る成りの果です。

要するに国家は、おカネが無いから破綻(債務不履行)するのではなく、供給能力が無いから破綻(債務不履行)するのです。

今の日本国はレバノンとは異なり、インフレ(供給能力の不足)に苦しんでいるのではなく、デフレ(需要の不足)に苦しんでいます。

ところが、我が国では愚かにも在りもしない「財政破綻論」に世論が騙され、緊縮財政(需要縮小政策)が正当化されています。

需要が低迷すればするほどに、国力の虎の子たる国内供給能力は毀損されつづけ、やがてはレバノンと同じ道をたどることになります。

ゆえに、レバノンの事例から「だから日本はもっと財政再建(緊縮財政)しなければ…」と言っている人たちは何もわかっていない。
2020/08/11

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