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緊縮財政と救急医療(後編)

昨日の続きですが、救急車が現場に滞在するケースの割合をなんとか「6.6%」までに抑制することに成功したものの、療養病床が不足する実状は変わりません。

例によって国は、さらなる病床削減を進めようとしています。

その理由は、むろん「プライマリーバランス(以下、PB)の黒字化目標」を達成するためです。

病床が減へることで救急医療などの地域医療にどんな支障がでようとも、PB黒字化のために容赦のない「緊縮財政」を断行しているわけです。

病床数の推移

さて、川崎市では『重軽患者救急対応病院』の創設によって救急車が現場に滞在してしまうケースの割合を改善させつつも、また新たな問題が発生しています。

それは、医学的ケアを怠る高齢者福祉施設による救急医療への「押し付け救急」問題です。

本来であれば施設にて適度な医学的ケアを行うべきところ、それを怠り、医学的ケアを救急医療で賄ってしまうケースが頻発しているようです。

むろん、救急車を呼ぶほどの重症患者であれば問題性はないのですが、搬送された患者の重症度を調査すると重症患者の搬送割合はむしろ減っています。

高齢者施設からの救急搬送

実は既に私は、4年前の川崎市議会(平成27年度第三回定例会)において、老人ホームや介護老人保健施設など、いわゆる高齢者福祉施設からの救急搬送件数について質問しています。

当時(2014年度)、川崎市内の高齢者福祉施設には、およそ12,000人の高齢者(65歳以上)が入所されていて、そのうちの約3分の1にあたる3,803名の入所者が救急搬送されていました。

前述のとおり、必要があって救急車を呼ぶことに何ら問題はありません。

とはいえ、3,803名の4人にお一人は「軽症」での救急搬送でした。

軽症で済んで何よりなのですが…おそらくこれらの多くは、施設側の医療的ケアが不十分であったがゆえに救急搬送されたのではないか、と疑問に思ったわけです。

要するに、本来その施設で行われなければならない医療的ケア、医療的管理というものがなされていないのが主因ではないのか…と。

これが、高齢者福祉施設が医療的ケアを救急車(救急医療)に丸投げする、いわゆる「押し付け救急」問題です。

そこで「このまま放置しておくと、消防局の救急搬送体制にも大きな悪影響を及ぼしてくるのではないか」と指摘したわけです。

また、各施設への医学的管理の徹底を要請することをはじめ、施設への認可条件に医学的管理の強化を盛り込むなどの具体的対策を施して頂くように関係当局に要望しました。

さて、あれから4年が経ちました。

結果は次のとおりです。

高齢者福祉施設からの救急搬送

グラフのとおり、2018年度は、高齢者福祉施設に入所しているご高齢者の約37.8%が救急搬送され、しかも軽症の割合も増えてしまいました。

軽症の割合は、2014年度=25.7%、2018年度=26.7%で、問題はまったく改善されていません。

高齢者福祉施設と在宅療養支援を行う病院等との間での医療連携が必要なのですが、実態はそのようになっておらず、「重症度の低い高齢患者を、本来は重症患者を受け入れる3次救急医療機関等に救急搬送で押し付けているため、このことが高度医療機関の疲弊を招いている」という識者の意見もあります。

ただし、高齢者福祉施設にばかり責任を押し付けるつもりはございません。

本来、療養病床で診療を受けるべき患者さんが、療養病床が不足しているために、やむをえず高齢者福祉施設にぬ入所しているケースもあるはずです。

であるならば、どうしても救急医療で対応しなければならないケースがあるのかもしれません。

高齢者福祉施設の救急搬送率

さらなる病床削減は、こうした問題をさらに深刻化させることになります。

国や自治体による「緊縮財政」が地域医療に様々な弊害をもたらしています。
2019/12/09

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