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緊縮財政と救急医療(前編)

今から10年前、川崎市では、せっかく救急車が速やかに現場に駆けつけながらも、重症患者の搬送先となる病院が決まらず、救急車が現場に30分以上も滞留してしまうケースの割合が全国でワースト1の時期がありました。

2007年、2008年、2009年と3年連続でのワースト1となり、最悪時には重症患者が現場に滞在するケースの割合が「16.5%」にまで達していました。

救急搬送時の現場滞在時間

なかなか搬送先が決まらないがために現場に滞留するわけですが、受け入れを拒まれる重症患者の多くは高齢患者(65歳以上)でした。

そこで私は、事態の深刻さに鑑み、データ的な裏付けをとった上で「療養病床が不足する医療圏」と「救急搬送時の現場滞留時間」との関連性を議会で指摘しました。

下のグラフをご覧ください。

救急現場滞在と療養病床数

Y軸を「救急現場滞留する割合」とし、X軸を「人口あたりの療養病床数」とした場合、もっとも左上に位置しているのが川崎市です。

療養病床数が多い都市ほど、救急車の現場滞留の割合が少なくなっていることがわかります。

川崎市は、近隣の医療圏(2次医療圏)のなかで最も「療養病棟入院の自己完結率」が低い地域なのです。

療養病棟自己完結率

ゆえに当該医療圏では、ただでさえ一般病床(急性期病床)に患者が滞りやすい。

そこに長期入院となる可能性の高い「高齢+重傷」の患者が搬送されてくるとなれば、その病院は忽ちにして不採算病床を抱えることになります。

受け入れを拒否されやすい患者

急性期病床では、入院期間が30日を過ぎると「短期入院加算」がつかず、90日を超えると患者の病状次第では「入院基本料」もまともに請求できなくなるからです。

ここに本市の救急現場滞留問題の本質があると思い、私は国の「特例病床制度」を活用した「絶対に受け入れを断らない病院」である『重症患者救急対応病院』の設置を議会で提案しました。

重症患者救急対応病院

その後、川崎幸病院が『重症患者救急対応病院』に指定され、ほぼ100%の受け入れを行うことになりました。

これにより、川崎幸病院が市内の救急患者の受け入れを吸収することとなり、救急車が現場に滞在するケースの割合は「6.6%」(2018年現在)にまで低下することとなりました。

救急車現場滞在の割合が改善

しかしながら、療養病床が不足する現実に変わりはなく、救急医療に関わる新たな問題が発生しています。

そのことは決して川崎市だけの問題ではなく、やがては全国的な問題になることは必定です。

明日につづく…
2019/12/08

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