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デジタル人民元は脅威か!?
コロナ禍が世界を席巻するなか、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の開発競争が激化しています。
既にいくつかの中央銀行がデジタル通貨の本格導入を視野に入れテスト運用の段階に至っています。
我が日銀も例外ではなく、2月の段階でCBDC研究チームを立ち上げており、そのレポートにおいて「実用化には現金同等の機能を持つ必要がある」と指摘されています。
ただし、たとえデジタル通貨が発行されようとも貨幣の本質に変わりはなく、とりわけ自然災害大国である日本においては現金を所持することの重要性はひきつづき大きい。
もしも災害で電気が遮断されれば、デジタル通貨は使えません。
そんなとき、手持ちの現金通貨がものをいいます。
一方、北京の人民銀行も早ければ今年度内にデジタル通貨を立ち上げる可能性が高い。
一部報道では、デジタル人民元の誕生を過大評価し「場合によっては米ドル優位の時代に終止符が打たれるかもしれない」と過剰なほどに懸念する向きもありますが、これらの声は残念ながら「貨幣の本質」を理解できていないことの象徴であるように思います。
デジタル人民元とは要するに「人民元」であり、デジタル円はあくまでも「円」にすぎません。
べつに新たな通貨が導入されるわけではないのですから・・・
ゆえに、デジタル人民元が米ドルに変わってグローバルな準備通貨になることなど到底考えられません。
少なくとも一国の通貨がグローバルな準備通貨と成り得るためには、いくつかの条件が満たされなければならない。
例えば準備通貨を発行する国には、他を圧倒するほどの経済力と軍事力により国際的公共財(グローバル・コモンズ)を構築し維持する能力が求められ、とりわけ何よりも世界経済をリードするこができるほどの国内生産力が必要です。
むろん、そうした意志と能力があるからこそ、国際社会が様々な危機に直面したとき、そのグローバル対応をまとめあげる力を示すことができるわけです。
ある種の歴史的偶然をふくめ、一定の地政学的要件と経済的要件を満たさねければならないことから、要するに準備通貨とは「覇権国通貨」ということになりましょうか。
即ち、デジタル人民元がグローバルな準備通貨となるのは、中国が国政政治をまとめ上げるほどの覇権国となり、人民元が覇権国通貨と成り得た場合のみです。
いかに中国の軍事力と経済力が強大化しているとはいえ、未だ米国の軍事力は経験値や蓄積力の点において他の追随を許さないほどの圧倒的な力を有しており、経済力においても相対的優位は辛うじて保たれています。
因みに、中国は当初、今年(2020年)までに上海をグローバルな金融ハブにする構想をもっていましたが、まだまだその実現にはほど遠く、そもそも通貨価値が市場で決定されない人民元がグローバルな準備通貨になること自体に疑問を抱かざるを得ません。
とにもかくにも通貨は、それ自体がデジタル化しようが、あるいはアナログ化しようが、「債権と債務の記録媒体」というその本質は何ら変わりません。
そのことへの不理解が、川崎市を含めた全国の地方自治体及び国家の財政政策を歪めているという現実こそを私たちは懸念するべきです。
既にいくつかの中央銀行がデジタル通貨の本格導入を視野に入れテスト運用の段階に至っています。
我が日銀も例外ではなく、2月の段階でCBDC研究チームを立ち上げており、そのレポートにおいて「実用化には現金同等の機能を持つ必要がある」と指摘されています。
ただし、たとえデジタル通貨が発行されようとも貨幣の本質に変わりはなく、とりわけ自然災害大国である日本においては現金を所持することの重要性はひきつづき大きい。
もしも災害で電気が遮断されれば、デジタル通貨は使えません。
そんなとき、手持ちの現金通貨がものをいいます。
一方、北京の人民銀行も早ければ今年度内にデジタル通貨を立ち上げる可能性が高い。
一部報道では、デジタル人民元の誕生を過大評価し「場合によっては米ドル優位の時代に終止符が打たれるかもしれない」と過剰なほどに懸念する向きもありますが、これらの声は残念ながら「貨幣の本質」を理解できていないことの象徴であるように思います。
デジタル人民元とは要するに「人民元」であり、デジタル円はあくまでも「円」にすぎません。
べつに新たな通貨が導入されるわけではないのですから・・・
ゆえに、デジタル人民元が米ドルに変わってグローバルな準備通貨になることなど到底考えられません。
少なくとも一国の通貨がグローバルな準備通貨と成り得るためには、いくつかの条件が満たされなければならない。
例えば準備通貨を発行する国には、他を圧倒するほどの経済力と軍事力により国際的公共財(グローバル・コモンズ)を構築し維持する能力が求められ、とりわけ何よりも世界経済をリードするこができるほどの国内生産力が必要です。
むろん、そうした意志と能力があるからこそ、国際社会が様々な危機に直面したとき、そのグローバル対応をまとめあげる力を示すことができるわけです。
ある種の歴史的偶然をふくめ、一定の地政学的要件と経済的要件を満たさねければならないことから、要するに準備通貨とは「覇権国通貨」ということになりましょうか。
即ち、デジタル人民元がグローバルな準備通貨となるのは、中国が国政政治をまとめ上げるほどの覇権国となり、人民元が覇権国通貨と成り得た場合のみです。
いかに中国の軍事力と経済力が強大化しているとはいえ、未だ米国の軍事力は経験値や蓄積力の点において他の追随を許さないほどの圧倒的な力を有しており、経済力においても相対的優位は辛うじて保たれています。
因みに、中国は当初、今年(2020年)までに上海をグローバルな金融ハブにする構想をもっていましたが、まだまだその実現にはほど遠く、そもそも通貨価値が市場で決定されない人民元がグローバルな準備通貨になること自体に疑問を抱かざるを得ません。
とにもかくにも通貨は、それ自体がデジタル化しようが、あるいはアナログ化しようが、「債権と債務の記録媒体」というその本質は何ら変わりません。
そのことへの不理解が、川崎市を含めた全国の地方自治体及び国家の財政政策を歪めているという現実こそを私たちは懸念するべきです。

2020/07/03 |