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JR南武線の連続立体交差事業の財源
新型コロナウイルス問題により東京オリンピックが延期され、今やその開催についても暗雲が立ち込めていますが、開催に否定的な意見の最大の理由は例によって「財源」の問題となっているようです。
厳密にいうと、財源の問題にされている、と言ったところでしょうか。
今朝のワイドショーでも、あるコメンテーターが「都税を収めているものとして考えさせられる」みたいなことを言っていました。
とはいえ、財源問題を中止の材料にするのは筋違いです。
おカネは使っても消えません。
外国からモノやサービスを購入した場合にはGDPは外国のものとなりますが、国内で需要されたものは日本のGDP(所得)になります。
東京都が五輪経費として支出される大部分は国内で使われるはずです。
ましてや、税金は財源確保の手段でもない。
ここのところ毎日のように「税収は財源確保の手段ではない」ことを当ブログにおいて述べ続けています。
なぜなら現在の我が国では、経済、医療、介護、防衛、教育、農林水産、エネルギー問題等々、我が国が背負い込んでいるあらゆる全ての問題が、この「税収は財源という誤解」がネックになっているからです。
よく税負担と言いますが、例えば多摩川に沿って川崎市を貫くJR南武線の連続立体事業(矢向駅〜武蔵小杉駅)は、概ね1,500億円の事業規模です。
といって、川崎市民が新たに1,500億円の市民税を支払わされるわけではありません。
1,500億円のうち、半分はまず国の負担です。
国といっても、国が負担するすべての費用は建設国債を発行します。
国債は基本的に借換を繰り返していきます。(基本的に税金で償還するわけではない)
なお、もしもその国債を日銀が買い取った場合、実質的に日本政府には返済義務すらありません。
即ち、国民負担はゼロになります。
さて、残りの半分である川崎市負担分ですが、やはり川崎市もまた負担分の9割を起債(市債発行)します。
そして市債もまた、毎年、償還分の半分ちかくを借り換えていきます。
残りの1割が、いわゆる一般財源(税金)による負担です。
それを工期20年で割返すと、いくらになるでしょうか?
なんと、年間3億円です。
1,500億円の事業でも、20年工期での直接的な市税負担はたったの年間3億円なのです。
1兆円を超える予算規模をもつ川崎市にとって3億円は、それほどべらぼうな金額でしょうか。
それに1,500億円が全て消えてなくなるわけではありません。
連続立体交差というインフラが生まれ、1,500億円は主として川崎の市内GDPとなり、3億円以上の税収が戻ってきます。
これはあくまでもフローによる経済効果ですが、その後、数年にわたってもたらされるストック効果をも含めたらその経済効果は計り知れません。
何度でも言います。
税収は財源確保の手段ではありません。
因みに、川崎市が連続立体交差事業費の一部を一般財源で賄うのは、通貨発行権のない地方自治体に対して国が課した財政的な義務です。
2020/06/19 |