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他国事ではない香港問題


昨日(6月3日)、中国政府が香港政府トップのキャリー・ラム行政長官を北京に呼びつけて、『香港国家安全法』施行の準備を加速すると伝達したらしい。

香港国家安全法とは、国家権力の転覆、中国の分裂、テロ活動の組織化などなど、国家の安全と治安を脅かす恐れのある香港内の行動を阻止し処罰する法律です。

既に昨年(2019年)だけでも約9,000人の香港市民が逮捕されていますが、同法が施行されれば、むろんそれを上回る人々が逮捕されることになるのでしょう。

因みに、ここで言う「治安を脅かす行為」には香港問題に干渉する外国または外部勢力による活動も含まれます。

それは明らかに、CIA(米国の諜報機関)やMI6(英国の諜報機関)などの外国の諜報機関を対象にしているものと思われます。

なにしろ、CIAやMI6にとって香港はアジアでの活動拠点ですので。

さて、さすがの北京政府も、もはや香港における「一国二制度の枠組み」を維持することが手に負えなくなっているようです。

過日に開かれた全人代(全国人民代表大会)で2020年9月からの施行予定を承認しましたが、今朝の日本経済新聞の報道によると、はやければ今月(6月)からの施行も視野に入れ、まさにその準備を加速しているようです。

当然のことながら国際社会の反応も厳しくなっています。

トランプ米大統領は、香港原産品への対中関税の適用除外など香港への特別な貿易待遇を取り消し、ほかにも対抗措置をとると発言しています。

これまでは慎重な姿勢を示していたロンドン当局もまた、めずらしく厳しい姿勢を表明しています。

英国は、1997年の返還前の香港に居住していた香港市民に対し、BNO(英国海外市民)旅券を保有させていますが、今回の中国政府の動向をうけて「BNO旅券保有者にビザ延長措置の準備をしている」と表明しています。

なお、もしも中国政府が今後も立場を変えることがないのであれば、「BNO旅券保有者を英国に住ませ、最終的には英国市民権をも与えるかもしれない」と、脅しをかけています。

EUもまた、中国政府の強硬姿勢に深刻な憂慮を表明しています。

属米外交の日本政府もまた米国様に歩調を合わせて一応は批判の声を上げています。

中国政府としては、国際社会からの厳しい批判のみならず香港民衆の怒りを抑え込むのも至難の業かと思われます。

さらなる混乱は必至です。

ゆえに、ここで中国政府が行動を起こすことは大きな賭だと思います。

しかし北京の指導者たちは「強硬策にでた場合のデメリットよりも、民主化を求める香港市民を抑え込むメリットのほうが大きい」と判断しているのでしょう。

どんなにトランプ米大統領が怒りを顕にしたところで、とりいそぎ大国間の軍事衝突に発展することは考えられませんし、せいぜい経済制裁など非軍事的な措置しかとれないことを北京政府も解りきっています。

米国が未だ世界最強の軍事力をもちつつも、グローバルパワーとしてのリーダーシップは既に失われ、その相対的優位性は低下しています。

むろん中国政府にしても真正面から米国と軍事的に衝突すればまったく勝ち目のないことは充分に承知しており、もしも米国に対し公然たる軍事的挑戦を試みれば、米戦力による壊滅的な報復攻撃にさらされることを理解しています。

とはいえ、既に米国のグローバルパワーが相対的に低下した今、中国政府が米国の決意を試すような小規模な挑発行動を起こすケースが、今後は増えていくのではないでしょうか。

例えば、北京当局が香港への強行措置を決意した以上、今後は経済制裁ほか様々な政治的制裁を受けることは免れません。

となれば中国は今後その捌け口として、国際社会に対し、とりわけ米国の同盟国に対して政治的、経済的、軍事的な挑発行動で事態の打開を図っていく可能性が高まります。

アメリカ・ファーストを掲げる大統領が、他国(同盟国)のためにどこまでリスクを冒して関与してくるのかを試してくることでしょう。

そのとき、格好の餌食が極東の属米国家です。

ゆえに香港問題のみならず、国際問題は常に他国事ではないのです。

奇しくも今日は、天安門事件から31年目の日です。
2020/06/04

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