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政府は常に最悪を想定せよ

消費税は1989年4月に導入され、その後1997年4月に5%に引き上げられ、次いで2014年4月に8%へ、そして昨年10月に10%へと引き上げられました。

1989年の導入と、その後の3回の引き上げのうち、昨年10月の10%への引き上げは、他の3つと比べて大きく異なる点があります。

それは、1989年の消費税導入、1997年の5%への引き上げ、2914年の8%への引き上げは、いずれも景気の加熱期か上昇局面であったのに対し、昨年10月の10%への引き上げは景気の後退局面での引き上げであったことです。

景気後退局面の引き上げによって、昨年の10〜12月(Q4)の経済成長率は年率換算でマイナス7.3%へと落ち込みました。

つづく今年の1〜3月期(Q1)は、マイナスの3.4%です。

あのリーマン・ショック時(2008年度)のGDP成長率は、まさにマイナス3.4でした。

ただ、リーマン・ショックは言わずもがな金融危機です。

世界的な金融危機ではあったものの、その前年までの世界経済(実体経済)が好調であったこと、なお米国FRBが資金供給をしたこともあって、幸いにして世界恐慌(極端なGDPの減少)には至りませんでした。

日本も好調な外需(純輸出)が経済(GDP)を下支えしたこともあってショックは限定的なものとなりました。

しかしながら、今回の景気後退局面での消費税増税(8%→10%)は、免疫力と抵抗力が低下している患者を無理矢理に極寒の地に晒したようなものです。

そこに、新型コロナウイルスという皮肉にも本当のウイルスの感染が広がり、日本経済を深刻な状況に陥らせています。

今回は頼りにしてきた外需も見込めず、デフレは深刻化するばかりです。

なお、コロナ・ショックで世界経済が脆弱化する中、今回は世界的な金融危機が重なる可能性もあります。

評論家の中野剛志先生によれば、対GDP民間債務比率が5年間で18%以上程度増加し、くわえて150%を超えると金融危機が発生する、という仮説があるようです。

なるほど、我が国の対GDP民間債務比率の推移をみてみると、バブル経済が崩壊した1991年(Q4)の対GDP民間債務比率は210%となっており、仮説の150%を優に超え、5年前の1986年(Q4)の171.6%に比べるとなんと38.4%も増えています。

日本の対GDP民間債務比率

現在の日本はバブルどころかデフレですが、世界を見回してみると上記の仮説に該当する国や地域がいくつかあります。

国際決済銀行(BIS)のデータからグラフ化してみました。

民間債務対GDP比率

ご覧のとおり、チャイナ、フランス、カナダ、香港が該当しています。

前述の中野剛志先生によれば、民間債務比率が高まった経済はショックに対して実に脆弱である、と指摘されています。

これだけ金融のグローバル化が進んでいる以上、いずこの国で金融危機が勃発しようとも世界経済への波及は避けられません。

ゆえに、金融危機から世界恐慌につながるパターンもあれば、コロナショックによる世界恐慌から金融危機を招くパターンも充分にあり得ます。

昨年の増税前、安倍総理は「リーマン・ショック級の危機がないかぎり増税を断行します」と言っておられました。

まさに今、リーマン・ショック級、いやそれ以上の危機に直面しているのに消費税の廃止や凍結の議論が全くといっていいほどに出てこないのはなぜでしょうか。

恐ろしいことに、一人10万円の給付金や事業者への持続化給付金からも容赦なく10%(消費税)をむしり奪っています。

金融危機のみならず、自然災害大国である我が国は、地震はもちろん台風や水害などの災害にも備えなければなりません。

それらが、コロナ対策や金融危機と相まって複合的に発生する可能性さえ否定できません。

国家は常に最悪を想定しなければならないのです。

未だ、消費税の凍結どころか議論さえされていないことからも、我が国の政権中枢が「最悪」を想定していないことが伺われます。
2020/06/02

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