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川崎協同病院の失敗に学べ

PCR検査の偽陰性

新型コロナウイルスの感染者数をみると、首都圏の一都三県のなかで首都東京を除き最も成績の悪い神奈川県ですが、我が川崎市の感染者数は234人です。

昨日(5月22日)、川崎市議会では健康福祉委員会が開催され、所管局から新型コロナウイルス関連の報告がありました。

報告ののち、いの一番に私は手を上げ質問に入りました。

まず、5月上旬に16名の院内感染を発生させた本市川崎区の桜本にある川崎協同病院に関する質問からはじめました。

川崎協同病院の院内感染は本市では最大の院内感染であり、その後、院内のみならず院外への感染にもつながったとのことから、私は極めて重要かつ深刻な案件だと思いました。

当局の答弁によれば、まず当該病院は熱発した患者さんの入院を受け入れ、コロナを疑ってPCR検査を実施した。

なんと結果が陰性だったこと、かつ、容体が安定していたことから個室から患者を移動させたという。

ところが、肺炎の状態が悪化したため転院、その後、転院先において再度疑ってPCR検査を実施したところ陽性と判明したという。

ほら、言わんこっちゃない。

過日、当ブログでも紹介しましたが…

中国の武漢市にある華中科技大学の医学院附属病院の研究によれば、新型コロナウイルス感染が疑われ、肺炎の検査のための胸部CT検査と新型コロナウイルスのPCR検査の両方を受けた1014人のデータについて分析を行ったところ、最初にPCR検査を受けた際に陽性だったのは59%(601/1014)であり、その後、PCR検査を繰り返したところ、最初にPCR陰性だった15名の患者さんがPCR陽性になるまで平均で5.1日を要したと報告されています。(出典:日本疫学会)

PCR検査には2〜4割の偽陰性があります。

上記の調査結果では、いったん陰性とされた患者が繰り返しPCR検査をしても、陽性が確認されるまでに平均で5.1日を要しているとのことです。

たった一回のPCR検査で「あなたは陰性です」と言ってお墨付きを与えてしまうことの危険がここにあります。

不幸にも川崎協同病院は、その愚を犯した。

そこで私は当局に対し、川崎市(地方衛生研究所)のPCR検査のキャパシティを確認しました。

すると、当局より概ね次のような答弁がありました。

〇 研究所の検査機器1台で24検体の検査が可能。
〇 検体の前処理を実施して、検査機器にかけて結果が出るまでに約6時間を要する。
〇 検査機器は3台あることから、24×3で1クールで72検体検査が可能。
〇 これを2クールすると144検体の検査が可能。
〇 1クールと2クールの間に検査機器の洗浄消毒作業等が発生するので、検査時間は単純に2倍とはならないが、検査実績としては1日で約120検体を検査した実績がある。

要するに、川崎市の地方衛生研究所(健康安全研究所)では、一日に120検体以上のPCR検査を行う能力があるとのことです。

さらに私は次のように質問しました。

「これまで、キャパシティの不足から検体検査を断った事例はあるのか?」と。

答弁は実に明快で…
「一切ありません。余力は十分にあります。」とのことでした。

これで合点がいきました。

少なくとも昨日の健康福祉委員会で明らかになったのは(少なくとも川崎市では)、PCR検査については世間で言われているような「量」の問題ではなく、たんに運用面に問題であるということです。

川崎協同病院のように、たった1回のPCR検査で「陰性だから問題なし!」とはせずに、繰り返しPCR検査を行い陰性であることを確認してから患者を退院あるいは転院させていれば、充分に感染者の拡大を防ぐことができたということです。

ゆえに、PCR検査は重篤な患者を出さないことを目的に必要な患者にこそ繰り返し行われるべきものであり、例えば「症状はないけど不安だから検査してほしい…」的な検査を拡大をすることに有意的な対策効果はありません。

そのことは、本市の地方衛生研究所(健康安全研究所)所長も答弁されていました。

因みに、川崎市の地方衛生研究所の所長は、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーでもあられる岡部信彦先生です。

マスコミや野党が声高に叫ぶ「PCR検査の拡大」に大きな疑問をもっていた私に、きのうの委員会で岡部先生は明確なお答えを示して下さったのです。

ゆえに日本のマスコミと野党が全くあてにならないことがよく解りました。

さて、その後の川崎協同病院ですが、本市当局の指導もあって次のような対策がとられたとのことです。

まず、転院先で再度PCR検査を行い陽性となった時点で、当該患者と接触した患者及び職員をリストアップし、14日間の健康観察をし、発症した場合にはPCR検査につなぐ体制をとった。

なお、そのことを確認するため、当該区の保健所支所、健康安全研究所、KAWASAKI地域感染制御協議会から専門の医師及び看護師、健康福祉局(医療政策室、感染症対策課)などで連携を図り、かつ本市当局は医療機関の現場確認を実施し、感染症の蔓延防止と今後の体制について協議を実施したとのことです。

「PCR検査を拡大すれば安心だぁ…」みたいな誤った認識が、今回の川崎協同病院のような院内外への感染拡大をもたらしたのだと推察されます。

今後は、第2第3の川崎協同病院を出さないため、PCR検査についての正しい情報を世に広めていかねばならない。

ぜひ、昨日の川崎市議会・健康福祉委員会の議論を世に知らしめたい。
2020/05/23

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