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日本の資金過不足

国民経済の基本は「誰かの黒字は、誰かの赤字」です。

このことが理解できないからなのか…

「もっと行政は職員を減らせ」とか、「もっと公共事業を見直せ」とか、「新庁舎など建設しないで民間ビルを借り上げろ」とか、「家計は慎ましく暮らしているんだから、行政ももっと慎ましく緊縮しろ」とか言って、恥ずかしげもなく議会で質問する頓痴気が後を絶たない。

経済無知は、どうしても政治行政に無知になります。

なにせ、「経済」の語源は「経世済民(国民のための政治行政)」にありますので。

この世の全ての経済主体(政府、企業、家計、海外)のバランス・シートを合計した場合、バランス・シートは必ずプラスマイナスが「ゼロ」になります。

当り前ですよね。

だから「バランス・シート」と言うのですから。

要するに、すべての経済主体が資産(黒字)だけを増やすことも不可能ですし、また負債(赤字)だけを増やすことも不可能です。

これは考え方の違いとかのレベルではなく、現実的かつ物理的に無理な話です。

例えば、大相撲の「取組み成績表」もこれに似ています。

東方、西方ともに全ての力士が勝つことはできませんし、全ての力士が負けることもできません。

誰かが勝てば、必ず一方で他の誰かか負けるわけですから当然です。
同様に国民経済では、誰かが支出(赤字)を減らすと、その一方で他の誰かが収入(黒字)を減らすことになります。

これを「国民経済(GDP)が縮小する」と言います。

とりわけ、デフレ期に全ての経済主体が財布の紐を引き締めたら、なおさらにデフレ化してみんなが貧乏になります。

現に、そうなっています。

例えばインフレ率が10%に跳ね上がり、需要が供給能力をはるかに上回り景気が加熱しすぎているのであれば、それこそ行政による財政引き締めが必要になりますが、ご承知のとおり我が国は既に20年間に及ぶデフレです。

さて、下のグラフは、各経済主体の資金過不足の推移です。

グラフの見方…

その年の収入よりも、その年の支出のほうが多ければ「マイナス」です。

その年の収入よりも、その年の支出のほうが少なければ「プラス」です。

統合政府とは、一般政府(中央政府と地方政府)と中央銀行を含めた政府のこと。

非金融法人企業とは、一般企業のことです。

家計には、むろん個人が含まれます。

海外は、外国との経常収支のやりとりを示しているので、経常収支が黒字なら「マイナス」、赤字なら「プラス」になります。



ご覧のとおり、誰かの黒字が誰かの赤字であることが視覚的にも確認できます。

このグラフを90度回転させると、ほぼ左右対称になることからも明らかです。

興味深いのは、1987〜1991年に統合政府が黒字になっていることです。

この時期はバブル経済という日本経済の異常事態です。

つまり、民間部門(非金融法人企業)が土地や有価証券など金融商品への投機(投資ではない)に走って借金(赤字)を拡大し過ぎたころです。

その分、統合政府が黒字になったわけです。

即ち、政府の資金過不足が黒字化するというのは国民経済としては異常な事態なのです。

一転して、1998年以降、今度は非金融法人企業の資金過不足が黒字化しています。

これもまた国民経済としては異常な事態です。

正常な国民経済とは、企業が借金(投資)することで経済を成長させ、その結果、家計が資金過不足を黒字化させ、そして統合政府は赤黒トントンてなところです。

ただし、デフレ期に統合政府が赤字を縮小すると余計にデフレ化します。

ご覧のとおり、1998年以降、非金融法人が黒字化しているのは、まさに日本経済がデフレ経済にある証左です。

なお、統合政府の赤字が2012年以降(第二次安倍政権が発足して以降)に急速に縮小しているのは、プライマリーバランス黒字化目標を達成するために猛烈に緊縮財政を行っているからです。

結果、非金融法人企業(一般企業)の黒字が赤字に転じる気配はありません。

そりゃぁ、そうですよね。

誰もカネを使わなければ「需要」は伸びず、需要が伸びなければ企業は「投資(借金)」を拡大しようとはしません。

以上のことから導き出される結論は、統合政府が黒字化宣言(プライマリーバランスの黒字化宣言)を破棄し、歳出(赤字)を拡大することで需要を創出し、企業の投資を促すことです。

政府が創出する需要拡大に、企業投資によって高められた供給能力が追いつくことで必ず経済は成長します。

経済が成長すると、国民が豊かになります。
2019/12/02