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桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿、減債基金にこだわるのは…

5月8日に総務省から発表された家計調査によれば、今年3月の実質消費支出はマイナス6%(前年同月比)となり大きく落ち込みました。

実質消費支出

消費税増税に加え、コロナによる自粛不況が重なったのですから当然のことでしょうが、まだこの程度の落ち込み具合に留まっているだけマシかもしれません。

実質消費を減らすとは消費者の「商品を買う量が減っている」「サービスを買う回数が減っている」という話であり、国民の貧困化そのものを意味します。

消費の減少に最も大きく影響したのは「外食」で、とくに自粛の影響からか32%も落ち込んでいます。

私の地元では、こうした散々なる経済環境から、これを機会に店をたたみ閉業しようとする事業者もおられます。

いつも言うとおり、政治の目的は経世済民(経済の語源)です。

即ち、世を経(おさ)める政府は、民を済(すく)わねばならない、ということです。

まさに今、政府はその機能を最大限に発揮すべきときです。

ここでいう政府には二つあります。

一つは中央政府、二つには都道府県や市町村や特別区などの地方政府(地方自治体)です。

因みに行政的にはこの二つを合わせて「一般政府」と呼びます。

同じ政府でも、いわば前者は親会社であり、後者は子会社と思って頂ければいい。

最大の違いは中央政府には通貨発行権がありますが、地方政府にはそれがない。

世間一般ではなかなか理解されないことではありますが、実は通貨発行権を有する中央政府には、インフレ率(物価上昇率)が許すかぎり公債発行(財政支出)に上限はございません。

一方、通貨発行権を有しない地方政府には当然のことながら公債発行(財政支出)には上限があります。

また、地方政府の財政運営には『地方自治法』『地方財政法』『地方財政健全化法』などの法的な縛り(制約)がかけられています。

例えば、『地方財政法』は自治体の起債に制限をかけており、『地方財政健全化法』は、その自治体の財政規模に占める赤字の比率を何%にしなさい、あるいは全会計(普通会計と特別会計)の実質赤字を財政規模の何%にまでに押さえなさい、というように様々に規定しています。

こうした規定に従えない場合、むろん総務省より制裁が課せられる仕組みになっています。

加えて、−−−実はこのことが最大の問題であるのだが−−−多くの自治体の長、財政当局、そして地方議会の議員が、おカネを「金属主義・商品貨幣」という誤った貨幣観で捉えていることが多いのですが、しかしながら現代貨幣理論(MMT)が示しているように、おカネは「債権債務の記録媒体」であり、誤解を恐れずに言えば「負債の一形体」にすぎません。

例えば財布の中にある千円札をみてほしい。

そこには「日本銀行券」と記載されています。

要するに「千円札」は日本銀行が発行した負債(借用証書)であり、それを所持することで、所持するものが日本銀行に対し千円の債権を有することを表券しているわけです。

しかも日銀がおカネという負債を発行するとき、金や貴金属など何らかの価値をもった商品を担保(裏付け)にして発行しているわけではございませんん。

では、何を担保に発行しているのでしょうか。

実は中央政府が発行した国債という借用証書を担保としています。

では、その中央政府は何を担保に国債を発行しているのでしょうか。

これまたなかなか理解され難いことでなのですが、中央政府は何の担保もなしに国債を発行できるのです。

前述したとおり、唯一の制約はインフレ率(物価上昇率)だけで、物価変動に大きな影響を与えないかぎりにおいて、中央政府(日銀)の通貨発行(国債発行)に上限はありません。
このことから、中央政府の国債発行残高とは、要するに中央政府の通貨発行残高にすぎないことが理解できます。

行財政を運営するにあたっては、こうした正しい貨幣観を有するか有しないかの違いは極めて大きい。

なぜなら、「金属主義・商品貨幣」でおカネを理解してしまうと、どうしても行財政を「家計簿」で発想してしまうことになるからです。

通貨発行権のない家計にとって借金は悪ですが、通貨発行権を有する、というより通貨(負債)を発行しなければならない中央政府にとって借金は悪ではないのです。

さてそこで、通貨発行権を有しないという点で家計と同様の地方政府にとって、借金は悪なのでしょうか。

地方政府には税収という確実な収入源があり、税収は基本的にその地域のGDPに比例します。

川崎市の場合、特に顕著なのですが、税収は市内GDPに相関しています。

GDPを拡大することで税収が増えるのであれば、GDPが拡大するための市債発行(借金)は善のはずです。

ところが、法的かつ制度的な制約、加えて地方行政にかかわる政策責任者や地方議員の圧倒的多数が誤った貨幣観をもっているがゆえに問答無用で借金は悪だとされています。

例えば、各自治体は発行した公債を償還するための将来財源として、毎年、一定財源(発行債の3%)を「減債基金」として積み立てることが制度的に義務づけられているのですが、川崎市の場合、日本経済の長引くデフレ化で税収が伸び悩む一方、年々高まっていく行政ニーズに対応していかなければならないことから、この減債基金を取り崩して予算を編成するケースが増えています。

とはいえ、財政当局は税収見込みを低め低めに見積もって予算を編成していることもあり、結局は決算ベースで使うことなくそのまま減債基金に戻しているケースが多い。

むろん、減債基金に戻せない年度もあるが、そのことで市債償還に支障をきたしたことなど一度もない。現に川崎市債の市場金利は0.01%という顕微鏡で見なければ確認できないほどの極めて低い水準で市中消化されている。

しかしながら、家計簿財政派の議員たちは、この減債基金を取り崩しての予算編成が気にいらない。

ゆえに「減債基金を取り崩しての予算編成は極めて不健全だから、もっと歳出を抑制しろ」と執拗に財政当局に対して緊縮を迫ることになります。

財政当局にしても結局は家計簿財政を旨としていることから「はい、わかりました」と実に聞き分けがよく、一層の緊縮財政が続いていくことになります。

以上のような理由から、ほとんど全ての自治体において「家計簿」顔負けの厳しい緊縮財政政策が採られているのが実状です。

国家予算の7割は、地方自治体を通じて執行されます。

その地方自治体が超緊縮財政なのですから、日本が長期にわたりデフレ経済から脱却できないのも当然です。

例えば、今回のような経済危機の際、通貨発行権のない地方自治体が独自財源で経済対策を講じる際、新たな公債を財源に各事業主へ給付金などの措置をとるのは極めて困難です。

となれば、前述した「減債基金」などのいわば内部留保を取り崩して措置をとるほかありません。

むろん、取り崩したところで川崎市がデフォルト(債務不履行)という事実上の破綻を来すことは可能性はほぼゼロ%です。

それでも家計簿派は「減債基金を取り崩しすのはけしから〜ん」と言って反対するのでしょうか?

因みに、地方自治体が発行している地方債のほとんどは民間銀行が保有しています。

それらの地方債を中央政府の子会社である日銀(中央銀行)が購入した瞬間に債権と債務が相殺されて、事実上、地方自治体の借金はチャラになります。

政府にとっておカネ(貨幣)とは、そんな程度のものなのです。
2020/05/16

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