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PCR検査の拡大を求めるリテラシーに疑問

マスコミ、とりわけワイドショー番組を中心にして、あいもかわらず「日本はPCRが少ない。もっと拡大すべきだ」と無邪気に騒いでいます。

ワイドショーに強い影響を受ける日本の世論に後押しされてなのか、いくつかの自治体がPCR検査の拡大に積極的で、もしくは既に踏み切っている自治体もあります。

例えば直近では、京都市が症状の有無にかかわらず、京都市に住んでいる妊娠38週前後で出産間近となった妊婦全員を対象にPCR検査を行うことが決定しています。

山形県もPCR検査(遺伝子検査)に積極的であると報道されており、奈良県では橿原市と高取町と明日香村の3市町村が共同でPCR検査を「ドライブスルー方式」で実施する感染症外来を橿原市内に設置するという。

なお、民間の検査会社によるPCR検査も急増しているようで、中小規模の検査会社では物資の確保や人手不足で対応が難しくなる可能性もあるほどだとか。

川崎市議会にも一部の会派が「川崎市でもPCR検査を拡大すべきだ」と主張していましたが、私は以下のような理由から反対しています。

【理由1】
PCR検査をしたところで、例え感染者であったとしても必ずしも陽性反応がでるわけではないこと。

誤って陰性反応のお墨付きをもらってしまった感染者たちが、大腕をふって街を歩きまわったときのリスクを考えいるべきです。

【理由2】
感染が確認された軽症患者が医療機関に集中すれば、重篤患者の治療に支障をきたし、医療崩壊に結びつく危険性がること。

その場合、医師や看護師などの医療従事者たちは、重篤患者と複数の軽症患者のどちらの治療に専念するのか、という「命の選択」をしなければなりません。

今回の新型コロナウイルス感染者と致死率を統計的にみると、ご覧のとおり、高齢者の致死率と重篤率が高く50歳以下は低くなっています。

新型コロナウイルス感染者数
新型コロナウイルス感染者致死率

であるからこそ、医療機能を維持するためには、あくまでも重篤化した患者を優先させるべきです。

特に、どうしても医療供給能力に制約がある都市部の医療圏では尚更です。

「軽症だからといって診療しないのか!」と言って、医療機関で一悶着を起こされること自体が医療現場にとってマイナスです。

一方、科学雑誌『Nature』(4月28日号)に、次のような論文が掲載されています。

中国で新型コロナウイルス感染症で入院していた、とある78歳の女性がいたとのこと。

その女性の症状が緩和されたので、PCR検査を3回続けて受けたそうです。

検査の結果、その全てが陰性だったので退院の用意をしていたところ、様態が急変し心臓発作で急死してしまいました。

死体を解剖し肺を調べたところ、PCR検査で3回も陰性だったのにもかかわらず、肺の組織の中に新型コロナウイルスが見つかった、ということです。

症状が失せ、PCR検査で陰性になったからといっても、肺や他の臓器の中に新型コロナウイルスが残っている、という初めての報告論文です。

この論文が示しているのは、少なくともPCR検査で陰性だったからといって「ウイルスがいない」と判断するのは危険だ、ということです。

PCR検査が陽性だった場合には「ウイルスに感染している」と言えるのかもしれませんが、検査結果が陰性だったからといって「感染していない」という証明にはならないということです。
 
要するに、PCR検査の「陽性」はウイルスが喉や鼻にいるということを確認できるだけで、肺や肝臓の奥深くに潜り込んでしまったウイルスをPCR検査で判別することは難しいかもしれないというものです。

いずれにしてもPCR検査のみに頼るのではなく、感染した人は症状が無くなり、たとえPCR検査が陰性になったとしても長期的な観察体制が必要であるという警告だと思います。

さらに厄介なことに同じく世界的な科学雑誌である『Lancet』(4月20日号)に、このウイルスは脳や心臓、そして腎臓などの血管にダメージを与えることも判ってきています。

即ち、新型コロナウイルス感染者が肺のダメージによる呼吸器障害で亡くなるという危険性だけではなく、脳梗塞や心筋梗塞などで突然死する危険性があるということです。

このウイルスはひょっとすると我々が想像している以上にかなり厄介なものかもしれないということなのです。

米国などが中国相手に損害賠償を真剣に検討しているというのもわかるような気がします。
 
因みに、こららの論文は、特に「PCR検査が陰性であるからといって、ウイルスが体内にいないことの証明にはならない」ということは、ワイドショー番組では取り上げられていません。(永遠に取り上げられないかも!?)

一部には「日本のPCR検査が遅れているのはリテラシーが低いからだ」と揶揄する声もあるようですが、少なくとも川崎市議会でPCR検査の拡大を主張している人たちに、私はリテラシーを感じたことはありません。
2020/05/02

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