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残念な選択

去る3月15日、安倍総理の昭恵夫人が約50人の団体旅行で大分県の宇佐八幡宮を参拝したらしい。
昨日(4月17日)開かれた衆議院厚労委員会で、国民民主党の岡本氏(衆議院議員)がその件について総理を追求したという。
要するに「非常事態宣言前とはいえ、3月15日といえば既に感染が拡大していた時期じゃないか…」と。
その質問に対し安倍総理は「昭恵夫人が宇佐八幡宮に参拝するために約50人の団体旅行に行くことは事前に承知しており、そのことが3密(密閉、密集、密接)に当るとは思わない」と答弁されたとのことです。
神社参拝自体は3密状態ではないとしても、その道中における50人規模の団体旅行となれば、どうみても3密状態にならざるを得ないのではないでしょうか。
今では定番となった総理の開き直り答弁に対し、おそらく質問者は「この時期に神社参拝そのものがケシカラン…」という語調での追求だったのだと推察します。
なお報道をみるかぎり、総理は参拝そのものが不要不急であるか否かの答弁はされていないようです。
古来より日本人は祭祀の民(宗教の民ではない)です。
ゆえに「日本人にとって神社への参拝行為は不要不急とは言えない」と言いきるほどの信念であるのなら、それはそれで立派なことだとも言えます。
しかしながら、50人規模での参拝旅行となると移動手段や食事会場をふくめ、どうしても3蜜状態にならざるを得ないのではないでしょうか。
それが問題ないと言うのであれば、もしも多くの国民がウイルス災禍の克服祈願を目的とした団体参拝旅行を行った場合、どうなるのでしょうか?
そのことは政府の自粛要請に反することにならないでしょうか?
それとも、総理夫人が参加する場合にかぎりって問題なし、ということなのでしょうか?
私が質問者であったのなら、そのように再質問したと思います。
ただ、国家が緊急事態にある今、総理が一言「配慮が足りなかった」と答弁されれば、それ以上追求する問題でもありません。
国会で審議すべき、より重要な案件が山積していますので…
結局、質問すべき事案の選択も、答弁すべきポイントの選択も、ともに少しズレているようで残念です。
そういえば、私の尊敬する作家・塩野七生さんが、著書の中で次のように言っておられたのを思い出しました。
「政治家にとって、私人としてけっして間違ってはならない重要な2つの選択がある。一つは秘書の選択、もう一つは結婚相手の選択。この2つの基本的選択を苦手とする人は、公人としてもまともな選択と判断をくだすことは困難であろう」と。
2020/04/18 |