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ウイルス感染阻止と経済対策をトレードオフにするな!

米国の資産運用会社ピムコは、武漢ウイルスの世界的流行に伴う米国全域の事業停止と失業の急増によって、米国の第2四半期(4〜6月期)GDP成長率がマイナス30%、2020年全体ではマイナス5%になるとの見通しを示しました。
トランプ米大統領が慌てふためきGDP10%規模の経済対策を組むのも無理からぬことです。
とはいえ、我が国と同様に自国通貨建てで国債を発行できる米国政府は、マイナス分以上の財政支出を拡大し継続的に総需要の穴を埋めていけば、経済的理由による死者を最小限に食い止めることが可能となりましょう。
ただし、これまた我が国同様にプライマリーバランスの黒字化目標を重視し、財政支出(国債発行)の拡大を惜しむようなことがあればウイルス感染ではなく経済的理由による死者を増やすことになりかねません。
要するに、こうです。
1. 財政事情を慮りつつウイルス感染の拡大を阻止しようとすれば、経済が落ち込む。
2. 財政事情を慮りつつ経済活動の自粛を甘くすれば、今度はウイルス感染が拡大する。
即ち、財政事情を慮ると、経済の下支えとウイルス感染の阻止がトレードオフの関係(二律背反の関係)になってしまうわけです。
現在の日本はまさにそうなっています。
例によって為政者たちのMMT(現代貨幣理論)への不理解が事態を悪化させているわけです。
一方、グーグルが次のようなデータを公表しています。
武漢ウイルスの感染拡大が進むなか、世界の人々がどのくらい外出を控えているのかを位置情報データで分析したところ…
米国が普段より38%減
イタリアが普段より63%減
日本は普段より9%減(地域によってバラツキあり)
…だったとのこと。
分析の対象期間は、日本政府が国民に「外出の自粛」を要請していた時期とも重なっているのですが、我が国の自粛率はかなり低くなっています。
因みに仄聞したところによると、東京都が自粛要請を出した後に、某有名大学病院の医師40人以上が3次会までの大宴会を繰り広げ、18人以上の集団感染が発生したようです。
もしも外国だったら逮捕あるいは投獄されるほどの破廉恥行為が、我が国では院長の「すみませ〜ん」の一言で許されてしまうのです。
事態を重くみた安倍総理は慌てて「非常事態宣言」を発出したわけですが、法的拘束力がないという意味で全く中身のない「非常事態宣言」ですので、ウイルスの抑え込みにどれだけの効力を発揮するのかは不明です。
強制力を発動してウイルス感染を抑え込むこともできない。
そして、財政支出を拡大するなどの満足な経済対策も打てない。
もはや「政治が機能していない」と言えまいか。
2020/04/09 |