ワクチン承認が遅れた責任は、国民が選んだ国会にある!

ワクチン承認が遅れた責任は、国民が選んだ国会にある!

愛知県西尾市の副市長が地元市民でもある大手薬局会長夫妻へのコロナワクチン接種を「優先的に確保せよ」と同市担当部局に指示していた、と報道されています。

政治的便宜による接種は未遂に終わったらしいのですが、TV取材でこの件について意見を求められた地元の一般市民が「私だって待っているのにけしからん…」と怒りを顕にしていました。

ご承知のとおり、我が国の接種率は先進諸国に比べ極めて低い。

接種を求めておられる国民が多いなか、残念ながら接種業務の責任主体である各自治体に対象者分のワクチンが届かず予約が一時的に中止されたため、多くの国民から「なんで接種できないんだ…」とか、「お年寄りには申込みシステムが複雑すぎて解らい…」などの苦情が各自治体に寄せられています。

横浜市などのようにサーバーの容量が足りず、ネットの予約システムがあっという間にダウンしてしまったケースもあります。

接種を求める国民の苛立ちは募るばかりです。

こうした国民の苛立ちを見て、機を見るに敏な評論家、専門家、野党議員たちは一斉に「政府のワクチン対応が遅い」と批判しています。

自衛隊の前統合幕僚長(河野克俊)までもが政府のワクチン対応の遅さに「厚労省の戦略が失敗した」とか「厚労官僚は臆病者だ」とか言って意味不明な批判をしています。

おそらく河野氏は、厚労省の怠慢によってワクチン承認が遅れたと誤解されているのでしょう。

きのうのブログでも申し上げましたように、厚労省(厚労官僚)による承認の手続き期間は決して遅くはありません。

第Ⅰ相治験と第Ⅱ相治験だけでも通常は1年程度を要するところ、厚労省とファイザー社は諸外国にに比べ4ヶ月も承認が遅れている現実を踏まえ、治験及びその解析や審査などを含めてわずか4ヶ月で処理を済ませています。

諸外国に比べ4ヶ月も遅れてしまった最大の理由は、国内に「海外での進捗状況や副作用の発現を慎重に見極めてからやるべきだ!」とか、「日本人は人種的に特殊だから再度の治験を行う必要がある!」という慎重論が根強かったからです。

無責任なメディアや専門家や国会議員も、こうした慎重論に同調しました。

少なくとも接種を求める国民は、選挙で選ばれた国会議員たちがワクチンの承認と接種を可能にする法律案(予防接種法改正案)をどのように審議したのかを知るべきです。

当該法案が衆議院で可決成立したのは令和2年11月19日で、参議院で可決成立したのは令和2年12月2日のことです。

衆参で可決した法案(予防接種法改正案)には、それぞれ全会一致で「附帯決議」がついています。

その附帯決議には次のようにあります。

「新型コロナワクチンの承認審査に当たっては、その使用実績が乏しく、安全性及び有効性等についての情報量に制約があることから、国内外の治験結果等を踏まえ、慎重に行うこと」

諸外国が他人種国家である米国の治験を基に早々にワクチン承認していたなか、日本だけが改めて日本人を対象にした治験を行うに至ったのはこのためです。

日本のワクチン承認が遅れた根源はここにあります。

むろん、厚労官僚の頑張りがなければもっと遅れていたわけです。

繰り返しますが、この附帯決議は全会一致で可決されています。

なのに野党が政府のワクチン対応の遅れを批判しているのは実に筋違いです。

また、河野前統合幕僚長が批判すべきは厚労官僚ではなく国民が選んだ国会です。