第三次世界大戦の危機

第三次世界大戦の危機

もはや戦後ではない…と断じざるを得ない。

きのう、イスラエルがイランの核関連施設や軍事施設への大規模攻撃を行い、対するイランもまたその報復行動として弾道ミサイルをイスラエルに打ち込みました。

イランの最高指導者であるハメネイ師は、「イスラエルが戦争をはじめた。彼らはその犯罪の結果から無傷でいることはできない。われわれの対応は中途半端なものにはならない」と述べています。(イラン国営テレビ)

ご承知のとおり、中東の動乱はわが国の原油調達に支障をもたらします。

それにつけても、ロシア・ウクライナ戦争は終結の目処がたたず、東アジアでも中共による台湾侵攻が着々と企てられているなか、中東においても大規模な戦争がはじまってしまえば、まさに第三次世界大戦の危機です。

ここ数ヶ月の情勢を時系列で振り返ってみたいと思うのですが、ことし3月上旬、トランプ米大統領はハメネイ師に核協議に関する書簡を送っています。

その直後の3月19日、米国のニュース会社が「交渉期限は2か月だろう」と報じ、5月末ごろには「米統合参謀本部情報部と国防情報局(DIA)は、イスラエルがイランのフォルドウとナタンズの核施設を2025年の初めの半年以内に攻撃するだろうと警告した」との報道がでていました。

「初めの半年以内…」となる4月19日、米国とイランの核協議がローマで行われ、4月21日にはフランシスコ教皇が亡くなられ、4月22日には英国空母プリンスオブウェールズが日本に向けて英国を出航しています。

5月に入るとドイツ軍がリトアニアに進駐していますが、ドイツが外国に常駐部隊を置くのは第二次世界大戦後はじめてのことです。

メルツ首相は「増大するロシアの脅威に対処できるよう通常戦力として欧州最強の軍隊へと軍を変革することが政府の最優先課題だ」と述べつつ、「イスラエルのガザ攻撃を正当化できない」とイスラエルを非難していました。

ナチスの反省があるドイツがイスラエルに物申すことなど、これまで考えられたでしょうか。

そんなドイツは5月28日、ウクライナに対し50億ユーロ(約8,200億円)の包括的な軍事支援を約束しています。

いよいよドイツが出張ってきたのです。

NATO(北大西洋条約機構)のそもそもの目的は「ロシアを締め出し、米国を引き込み、ドイツを抑える」(NATO初代事務総長、ヘイスティングス・イスメイ)ことにあります。

ゆえに英仏などのヨーロッパ諸国で、ドイツの軍事的台頭を喜ぶ国などドイツ以外にはありません。

むろん、ドイツとしても地政学的な事情(地理的脆弱性)もありますので、ロシア・ウクライナ戦争がロシア有利の状況で推移するのを傍観しているわけにもいきません。

もしもドイツがウクライナを介してロシアと軍事的に衝突するようなことがあればヨーロッパも大混乱に陥り、その間隙を突いて中共が台湾侵攻に踏み切るかもしれません。

その一方で中東においても動乱状態が続いていればどうなるでしょうか。

それはもう「第三次世界大戦」と言っても過言ではないでしょう。

このような危機を前にしてもなお、わが国は戦後占領体制(占領憲法に基づく政治支配)にどっぷりと浸かっています。

わが国だけが「戦後気分」のままでいられるわけがないのに。