コメ価格問題について日本経済新聞が「小泉農相のスピード感に自民党の農林族議員たちが困惑している」と記事にしています。
ここでもまた「族議員の抵抗と闘う小泉農相…」という構図が強調されています。
グローバリズム新聞社の日本経済新聞にとっては、農協解体を目論む小泉農相は都合もよく使い勝手のいい政治家の一人なのでしょう。
小泉農相は、既に放出した備蓄米のほか、さらに30万トンの備蓄米を市場に流すことにより「国民に5キロで2000円のコメを提供したい…」と言っていますが、よく知られているように新たに放出される備蓄米とは古古古米(令和2年産米)からです。
古古古米は玄米の状態で保存されているため酸化した油がコメにまで浸透しているがゆえに味は相当に落ちます。
だからこそ、餌米として利用されてきたわけです。
おコメとしての価値からすると、平時であれば5キロで800円程度の価値しかないらしい。
それを「2000円で提供してやるから有り難いと思え…」という話なわけです。
しかも、実際には消費税などもかかることから、古古古米を2000円では買えません。
やがては「備蓄米も底を尽きたから、米国様からの輸入米をもっと拡大しよう」などとされれば、まさに本末転倒です。
遺伝子組換えの輸入米などで代用され、それと引き換えにわが国の国内生産力が消滅することになります。
このままでは近い将来(10年以内に)、日本はおコメを一粒も作れない国になってしまいます。
実際、日本のおコメ農家の平均年齢は70歳を超えています。
10年後には80歳です。
ちなみに、おコメ農家の時給は10円程度ですので、平均80歳の方々に日本政府は「時給10円でもおコメを作れ」とでも言うつもりなのでしょうか。
国民が理解しなければならないのは、現在の事態を招いたのは農協ではなく、自民党による減反政策と財務省による緊縮財政です。
現在のコメ価格の高騰を農協のせいにする政治的な動きや報道には、絶対に騙されないようにして頂きたい。
食糧危機とは、急に食べ物が消えるという話ではありません。
価格がじわじわと上がることからはじまるものです。
つまり、食糧危機は既にはじまっているのです。
ゆえに今こそ、農家への所得補償、もしくは価格補償を行うことで、おコメ農家の後継者を確保しつつ、国内生産力を増強する方向にもっていかねばなりません。
それからもう一つ必要な改善策は、備蓄米を玄米の状態で保管するのではなく籾米(もみごめ)の状態で保管することです。
すなわち『籾米備蓄制度』を復活させることです。
籾米備蓄は、戦国時代から続いた先人たちの英知です。
例えば加藤清正は、完全な籠城戦に備えるため熊本城を鉄壁に要塞化し、驚くほど大量の籾米を備蓄しました。
それでも足りないとして、壁土に籾米を練り込むことまでしています。
その点、西南戦争の際、熊本城を落とせなかった西郷隆盛はまさに加藤清正に敗れたとも言えます。
江戸時代の飢饉対策である『囲ひ米』もまた籾米備蓄でした。
籾米こそ長期保続の食糧資源であり、種籾としてコメ生産のための種としても保存できます。
わが国の歴史と伝統、そして先人の智恵からしても玄米備蓄は邪道です。