小泉改革こそ、食糧安全保障上の脅威

小泉改革こそ、食糧安全保障上の脅威

備蓄米の大量放出により、再び小泉劇場がはじまりました。

ワイドショー番組も、この話題で持ち切りです。

おそらく視聴率がとれるのでしょう。

小泉農相は、備蓄米を気前よく放出することにより、とにもかくにも「米価を下げたい…」とのことでしょうが、その気前の良さがワイドショー番組の視聴者を中心に世論の支持を集めているようです。

100万トンあった備蓄米は既に60万トンとなり、小泉農相はさらに30万トンを放出するという。

小泉農相のことです…備蓄が底をつけば当然のことながら今度は「輸入米が必要だ!」「コメの関税を引き下げろ!」と言い出すはずです。

そして、輸入米に反対する人たちに「抵抗勢力」のレッテルを貼りつけ、父君がそうであったように「私が自民党をぶっ壊してでも」とか言って改革者を気取り、また国民の支持を集める。

その勢いで「国民の皆さん、次は既得権益である農協をぶっ壊しましょう」とやるにちがいない。

確かに短期的な対策としては備蓄米の放出しか手立てはないのでしょうが、だからと言って「輸入米を…」とはならない。

どんなに時間とカネをかけてでも、国内生産力を増強しなければなりません。

財政を投じることで農家に対する所得補償もしくは価格補償のどちらかを充実し、徐々に生産量を増やしていくしかない。

そのためには、しばらくコメ不足が続くことになりますが、それこそ改革の痛みとして受け入れるほかはないでしょう。

むろん、所得補償や価格補償については、財務省ら緊縮派や財務省の手先となっている政治家たちは大いに反対するでしょうが、それこそ政治の決断でなんとかやらねばなりません。

さて、小泉農相が農協を潰したい理由も明らかです。

それが米国様の利益だからです。

米国の農作物商社であるカーギルは、全農の子会社である全農グレインが邪魔で邪魔でしょうがない。

例えば、全農グレインは米国の小麦農家と直接契約して、IPハンドリングにより遺伝子組み換えの小麦とそうでない安全な小麦をきちんと分けて日本及び世界に輸出しています。

これを全農グレインにやられてしまうと、カーギルもまた同じことをやらざるを得ず、コストが嵩んでしまい株主利益が上がらないのです。

ゆえに、どうしてもカーギルは全農グレインを買収したいのですが、全農グレインの親会社である全農が株式会社ではなく協同組合であるために買収できない。

そこで米国は「全農を株式会社化しろ…」と圧力をかけてきたわけですが、その声に応えた政治家の一人が小泉進次郎氏です。

現に自民党政権は、全農を株式会社化できるように既に法律を変えてしまったのです。

幸いにしてまだ株式会社化はされていませんが、制度上はできるようになっています。

もしも全農が株式会社化され、カーギルに買収されるとどうなるか。

カーギルが欲しいのは子会社の全農グレインだけなので、全農が持つそのほかの商社事業については中国系企業に買収してしまうらしい。

実に恐ろしい話です。

小泉改革により、日本のコメ農家が潰され、全農が買収されてしまえば、わが国の食糧安全保障は完全に崩壊し、私たち日本国民は農作物の流通を中国に支配され、米国産遺伝子組換のコメや小麦を食さなければ生きていけないという悲惨な現実を受け入れなければならないのです。