このままでは国民が飢える

このままでは国民が飢える

江藤氏の農水相辞任に伴い、その後任として小泉進次郎氏が任命されました。

きのうのブログで「江藤氏の辞任話などに興味はない」と言ったものの、その後任が小泉進次郎氏となると話はまったく別です。

小泉氏が任命された理由については、自民党の農林部会長として農協改革に携わった経験があり、コメの価格引き下げに向けた改革手腕に期待するということらしい。

しかしながら、小泉氏が目論む「農協改革」とは改革などではなく農協の解体であり、農協の解体とは要するにわが国の食料安全保障の解体を意味します。

そもそも、現在のコメ不足の根本的な要因は長年にわたり行われてきた減反政策にあります。

減反政策は2018年に廃止されたことになっていますが、実際には廃止されていませんでした。

結果、コメの生産能力の弱体化に歯止めはかからず、現在のコメ不足を招きました。

小泉氏は「コメの価格を引き下げるために主力を尽くす…」などと言っていますが、現在のコメ不足については残念ながら国内的な即応策はない。

ゆえに、まずは来年以降を見据えて、とにもかくにも増産することが先決です。

そのためには減反政策を事実上の廃止にもっていかなければならないわけですが、おそらく小泉氏のことですからそれをせず、親父が郵政を悪者にしたように農協を悪者にして更なる農協改革の必要性を主張することになるでしょう。

コメ不足というショックを利用し、さらなる構造改革(ネオリベ改革)を断行する、いわゆるショック・ドクトリンというやつです。

具体的には、JA共済(保険事業)、農林中金(信用事業)、全農(商社事業)などを外国企業に売り渡す方向にもっていこうとするにちがいない。

農協解体を目論む人たちの究極の目的はそこにあります。

あるいは、現在のコメ不足を短期的に解消するために小泉氏は「アメリカ産米の輸入拡大」とかを言い出す可能性もあります。

しかしながら、いったん輸入を拡大してしまうと、そこに既成事実ができてしまうため、拡大した輸入を再び縮小することは政治的に難しくなります。

トランプ大統領なら必ず文句を言ってくることでしょう。

農協解体も輸入米の拡大も、いずれも日本の食料安全保障を破壊するものです。

わが国は、食料安全保障上もっとも望まれない政治家を農水相にしてしまいました。